いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第20回
みずみずしい透明感と適度なゆるさを兼ね備えた音も魅力的
オールラウンドという言葉がふさわしい、ティアックの万能DAC「UD-701N」 (5/5)
2021年05月24日 17時00分更新
ダイヤルを中心としたシンプルな操作感
UD-701Nにはリモコンも付属するが、ダイヤルを中心とした操作系がシンプルで分かりやすく、手の届く位置に置いて直接操作したくなる。右側の大きなダイヤルが音量調節用のボリューム、その横に小さめのディスプレーがあり、再生中のフォーマットや音量などを表示できる。中央のダイヤルはソース切り替えに使うが、プッシュしてメニュー操作に使うことも可能だ
さらに左側には、出力先(RCA、XLR、ヘッドホンアンプなど)の切り替えや外部クロックのオン/オフを決めるスイッチがある。電源スイッチは、レトロな雰囲気のあるトグル型になっている。また、左右にラックマウントする業務用機器によく見られるハンドルも付いている。これは実用性というよりは、デザイン上の選択だとは思うが、Referenceシリーズらしさを感じさせるアクセントのひとつである。
USB入力に関しては、PCなどと接続する際に使うUSB B端子(角形)が背面にひとつ、USBメモリーなどを差すためのUSB A端子(平形)が前面/背面にひとつずつある。後者はFAT32/exFAT/NTFSでフォーマットしたストレージを接続でき、大容量のHDDなどをつなぐのに便利だ。ここもUSB DACなどと同様、PCM最大384kHz/32bit、DSD最大22.5MHzまで再生できる。MQAにも対応する。
多機能で魅力的な音の世界を持った注目の製品
直接的な競合と言えるかは分からないが、独自DACやNCoreモジュールの採用といった点で、マランツの「SACD 30n」「MODEL 30」などと比較する人もいるかもしれない。Reference 700シリーズは、DAC/アンプともに実売40万円弱と、ワンランク上の価格帯となるが、省スペース性に優れ、PCオーディオやヘッドホン再生とより親和性の高い内容になっている機種である。
空間に音が満たされる広いサウンドステージや、ニュートラルな傾向でありながらみずみずさも感じる音色は、聴いていて爽快な気分になれる。音の細かな表情が自然にまとまって響くため、録音された空間の雰囲気を脳がすんなりと想像できるのだろう。
また、ヘッドホン端子は、バランス駆動だけでなく、ティアックらしいアクティブグラウンドにも切り替えられる。6.3mmでも十分なクオリティだが、HD 800 Sのようなハイインピーダンス&バランス駆動用ケーブル付属の機種を持っている人はそれを存分に楽しめる。
筆者としては、多機能なUD-701Nはもちろん魅力的なのだが、むしろAP-701のデジタルアンプらしい駆動力の高さと、アナログアンプ的な滑らかさを兼ね備えたサウンドがとても気に入った。それなりのスピーカーを揃えてシステムを組むと100万円程度と結構なハイエンドシステムにはなるが、これ1台あれば大抵の事はこなせてしまうし、単品コンポを1台1台買い足していくよりは手軽だ。また、DACとアンプを個別に購入しても満足できるので、用途や自分のスタイルを考えながら選択したいところだ。
フルサイズになったとは言え、薄型で奥行きもあまりとらないので、設置スペースの柔軟性もかなり高そうだ。また、厚みのあるフロントパネルや側面のヒートシンクなどの質感も非常に高いので、所有欲と言う意味でも十分に満足させてくれる。
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