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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第20回

みずみずしい透明感と適度なゆるさを兼ね備えた音も魅力的

オールラウンドという言葉がふさわしい、ティアックの万能DAC「UD-701N」 (4/5)

2021年05月24日 17時00分更新

文● ASCII

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透明感と音の広がりがよく、声の再現にぞくぞくする

 自宅に機材を持ち込み、ELACの「VELA 403」と組み合わせて試聴してみた。

 最初に感じたのは、音の透明感の高さ。そして広がりが豊かで、ニュートラルであるという点。純度の高さを感じさせる、再現性の高い音に好印象を持った。傾向としては、明晰で比較的ドライ。音に着色感がなく、ストレートに出てくるのがいい。音場の広さだけでなく、音像の定位も明確で非常に優れている。

 手持ちのライブラリーから何曲か再生してみる。中低域の分離感が高く、ダイナミックレンジの広さ(大音と小音の対比)やS/N感に優れているのが改めて実感できた。打楽器などアタックの強い楽器が空間にスパンと立ち上がってくる様や、ジャズボーカルの少ししわがれた声のディティールが克明に描写される。イメージとしては、彫り物に着いたほこりをハケで落とした後のように、雑味や曖昧さが消え、音の立体的な凹凸が浮き立ってくる。

 このように機器としての能力はさすがに高く、丹念に録音されたハイレゾ音源のニュアンスを存分に満喫できる。一方で、その輪郭は太めの筆で描いたようにハッキリしていて、思い切りの良さがある。音源の情報をストレートに出すので、録音の良し悪しや、ハイレゾと圧縮音源の違いなどが明確に分かるが、適度な柔らかさもあって、神経質でギスギスした感じにはならない。ヘッドルームを大きく取った録音の休符やブレスといった変化も自然に楽しめ、素直に音楽を聴くことに没頭できた。

AP-701のフロント部にはレトロな雰囲気のトグルスイッチがある。

 試聴用に選んだ曲の中に、レイ・チャールズとナタリー・コールのデュエット曲「Fever」がある。『Genius Loves Company(10th Aniversary Edition)』というアルバムに収録されているものだ。UD-701N+AP-701+VELA 403の組み合わせは、こういった男声ボーカルと非常によく合う。また、ダイアナ・クラールのアルバム『Wallflower』に収録されている「Desperado」を聴くと、女声ボーカルでも声域が低く、声質がハスキーなものは存在感があって非常にいい。

 声が立体的に浮き立ち、歌手が目の前に立っているかのようだ。伴奏と声の対比もよく、楽器の音がよく把握できる。特に低域の分離が優れていて、音域的にもかなり深いところまで沈みこむ。この深さがサウンドステージの広い再現に大きな役割を果たしている印象だ。また、Ncoreモジュールの力なのか、VELA 403のウーファーが非常に軽く動く感じがする。個々の音は細かく分解されるが、特定の箇所が目立ちすぎるということはない。全体としてのまとまりがよく、音色には滑らかさや温度感が載っていた。

 強いて気になるところを書くと、中~高音域がやや落ちてしまい、一部の曲で楽器や声に硬さ/遠さを感じた。スピーカーの特性も関係しているかもしれないが、ピアノで言うと、真ん中のCから上の上のオクターブ付近の音域、女声アンサンブルなどで高音域を担当するソプラノや、小編成のオーケストラ曲のバイオリンがあるあたりの基音が、少し引っ込む印象だ。子音など、さらに上の音域は前に出てくる。歌詞の明瞭さや空間再現に影響する高めの帯域、スケール感に影響する中低域~低域を若干強くだすチューニングなのかもしれない。

 スピーカーとの相性も考えて、レンジ感や解像感は欲張らず、中音域に寄った小型ブックシェルフとも組み合わせてみた。低域が出ない分、VELA 403よりは腰高になるが、上記の印象は軽減されたので、中域をたっぷり聞かせるタイプのスピーカーにしてみるなど、相性を探ってみるのがいいかもしれない。

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