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AI/機械学習処理向け、エッジ高度処理向けなどの最新サーバー製品や技術も紹介

デルが「Dell EMC PowerEdge」サーバーの国内事業戦略を説明

2021年05月21日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 デル・テクノロジーズは2021年5月19日、「Dell EMC PowerEdge」サーバーの国内事業戦略に関する記者説明会を開催した。同社では昨年12月に「新しい時代の5つの基本施策」を発表したが、この施策により、製品ラインアップ強化によるシェア拡大、「Dell Technologies APEX」をはじめとした“as-a-Service化”への準備、競争力向上によるシェア拡大といった成果が上がっていることを示した。

今年3月にはIntel、AMDの最新プロセッサー搭載モデル17機種も発表している

デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏、同社 執行役員 製品本部長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の上原宏氏、同社 製品本部 シニアプロダクトマネージャー データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の岡野家和氏

「最新製品群は顧客イノベーションを支える“イノベーションエンジン”」

 デル・テクノロジーズは昨年12月発表の「新しい時代の5つの基本施策」において、「製品ポートフォリオの拡充」「消費モデルの導入」「新たな価格戦略」「顧客サポート力の強化」「販売エコシステムの強化」の方針を掲げた。デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏は、これらの施策を通じて国内市場で現在第4位のポジションを引き上げ、上位3位に食い込む姿勢を見せる。

 「デルの国内サーバー事業は過去5年間で金額シェアを倍増させ、日本でのフットプリントを拡大している。コロナ禍においてもサーバービジネスは堅調に推移している。もう一歩、二歩がんばりたい」(松本氏)

 同社は今年3月、17機種の次世代「Dell EMC PowerEdge」サーバーを発表しており、すでに第3世代(“Milan”世代)AMD EPYCプロセッサー搭載モデルを出荷している。5月13日からは、第3世代(“Ice Lake”世代)Intel Xeonスケーラブルプロセッサーを搭載した5機種も販売を開始した。7月中旬にかけて、残りの製品も販売を開始する予定だ。

 松本氏は「最新の製品群は、お客様のイノベーションを支える“イノベーションエンジン”になると位置づけている」と語る。また、同社 製品本部 シニアプロダクトマネージャーの岡野家和氏は、最新テクノロジーを適材適所で効率的に活用してビジネスに貢献することを目指しており、自律型コンピュートインフラ、プロアクティブレジリエンス(予測型回復力)といった特徴も強調する。

最新世代のPowerEdgeサーバーポートフォリオ(全17機種)

 このポートフォリオでは、汎用ラックサーバー群に加えて機能特化型モデルも用意されている。

 「AI/機械学習処理向けのGPUサーバー」と位置づけられる「PowerEdge R750xa」は、デルとしては初めて、標準的な2UラックサーバーにダブルワイドGPUを最大4基搭載できる製品。空冷環境におけるGPUの稼働を最大化できるという。同じくGPUサーバーである「PowerEdge XE8545」は、NVIDIAのGPUインターコネクト「NVLink 3.0」に特化したサーバー。NVIDIA A100 80G GPU」をTDP 500Wで稼働させることで、カタログ仕様(400W)よりも最大15%の高性能化を実現する。

 また「エッジ環境向けエンタープライズサーバー」として、1Uの「PowerEdge XR11」と2Uの「PowerEdge XR12」の2機種をラインアップしている。いずれも約400mmのコンパクトな奥行きながら、エンタープライズクラスの処理能力を実現。高温/低温、ほこり、振動への耐久性を持ち、厳しい環境下でのエッジコンピューティングに適している。

 このPowerEdge XR11/XR12については、エッジコンピューティング向けの「バンドル提案」を加速させる方針だ。具体的には、サーバーだけでなく無停電電源装置や無線アクセスポイント、ファイアウォールや暗号化などのセキュリティ製品、最適化したサーバーラックなどのサードパーティ製品を組み合わせて、工場や拠点オフィス、小売、外食産業など、それぞれのエッジ環境に最適な提案を行うという。これらをパッケージしてレンタルするプランも用意している。

AI/機械学習処理向けのGPUサーバー、エッジ環境向けエンタープライズサーバーもラインアップ

 さらに岡野氏は、PowerEdgeサーバーが搭載するリモート管理モジュール「iDRAC」最新版の進化についても説明した。

 「最新世代のiDRACでは能力が革新的に進化し、ポリシーとSLAに基づくインフラの自動調整能力も提供している。たとえば基幹系システムと部門系システムで異なるポリシーを設定し、自動対応させることも可能だ」(岡野氏)

 デル・テクノロジーズでは、自動運転車の自動化レベルになぞらえたインフラ運用管理の自律化を進める取り組みを行っており、「7月には新たなテクノロジーのリリースも予定している」(岡野氏)という。

最新版iDRACにおける自動調整機能の例。今後さらに自動化、自律化を進める

 また最新のiDRACでは、GPUを他のサブシステムと同様の監視対象とした高度なインベントリ管理にも対応しており、GPUごとの消費電力や温度のリアルタイム可視化、インテリジェントな冷却、自律型電力制御などの機能を提供する。またセキュリティ面では、システムロックダウンを動的に適用、解除できる機能を提供する。

 iDRACが収集するデータをもとに、AIエンジンによって障害発生を予測する「SupportAssist Enterprise」も提供する。同社 執行役員の上原宏氏は、この機能はすでに国内2万台以上のサーバーで利用されており、「予測テクノロジーを駆使してダウンタイムを実質的に排除できる」と説明した。

 また、最新世代のPowerEdge RAIDコントローラー「PERC」では、NVMe SSDにもハードウェアRAIDが適用できるようになった。またハードウェアRAID内蔵のブートOS専用ストレージ「BOSS」も最新版(BOSS-S2)となり、ホットプラグへの対応や背面アクセス可能な設計となり、安心性とメンテナンス性を高めたとした。

PERC、BOSSもそれぞれ最新機能を搭載

 新しい次世代PowerEdgeサーバー製品群は、今年8月に移転予定の新本社(東京・大手町)に設置される「AI Experience Zone」に展示され、実機検証やPoCもできるようになる。

 「(AI Experience Zoneでは)『VMware Bitfusion』や『NVIDIA MIG』も利用できる。また昨年来、大規模なHPC案件が出てきており、その似ずに対応するために米本社の『HPC & AI Innovation Lab』とつないで、大規模クラスターをリモート利用できる環境も用意する。加えて、GRAPHCOREが開発したIPUを4基搭載したM-2000と、Power Edge R6525の組み合わせで提案する活動も行っていく。ここは多くの関心が集まっている分野であり、力を入れたい」(上原氏)

 同社では「Dell de AI(デル邂逅=であい)プログラム」も開始する。これはAIビジネスを展開している顧客と、これからAIをビジネス活用していきたい顧客とのマッチングサービスで、コミュニティを通じて意見交換の場などを提供する予定だという。現在はロゼッタ、LeapMind、グラフコアジャパンが参加を表明しており、2021年後半には10社の参加を見込んでいる。

サプライチェーンセキュリティやSDGsなどの取り組みも紹介

 今回の説明会では、サーバーのサプライチェーンにおけるセキュリティ対策についても説明した。

 デル・テクノロジーズでは独自のサプライチェーンセキュリティ「「Secured Component Verification(SCV)」を提供している。これはデジタル署名を使って、工場出荷後にサーバーが不正アクセスや改竄にあっていないことを証明できるテクノロジーであり、今回紹介されたサーバー製品のすべてで対応している。

 「サプライチェーンセキュリティの問題は、地政学的なリスクとして大きく取り沙汰されている。今後、セキュリティと言った場合には、サイバー攻撃への対応だけでなくブル知的なサプライチェーンへの対応も重要になる」(松本氏)

 さらに、同社のSDGs(持続可能な開発目標)に対する取り組みにも触れた。

 ここではまず、製品の利用が気候にどのような影響を与えるかを測る「Product Carbon Footprint」の観点から説明した。ハイエンドモデル「PowerEdge R840」の最大コンフィグレーションで4年間使用した場合、1万5600kgのCO2を排出することになる。サーバー1台で自動車が4万5000km走行したときのCO2排出量、10台で0.75平方kmの森林が吸収する量に匹敵し、100台では312人のCO2量に達するという。

 「この実態を見ると心が痛むところがある。こうした課題を解決するために、デル・テクノロジーズは製品のエネルギー強度(経済効率)の改善を図っている。ストレージやサーバーは、インテルやAMDの消費電力削減への貢献、SSDへの置き換えもあり、この8年で消費電力を80%削減することができている」(松本氏)

 また設計から開発、製造、流通、設置、運用、廃棄まで、プロダクトライフサイクル全体での環境負荷削減にも取り組んでおり、海洋プラスチックを回収し、緩衝材に使用するといった事例も紹介した。「設計段階から、サスティナブルを意識することで廃棄物の抑制や、熱制御への多面的アプローチなどが行われている。新たなサーバー製品群にもこうした取り組みが行われている」(松本氏)

消費エネルギーに対する提供性能を高める取り組みのほか、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減を図っている

 また上原氏も、「今年に入ってから、PowerEdgeにおける環境対策に関する問い合わせが急増している。環境に配慮し、持続可能性を向上させることができるサーバーであることを訴求したい」と述べた。

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