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PC自作やBTO PC選びで意外と悩む!? 電源ユニット選びの基礎を解説

SilverStone製品に学ぶ、いまさら聞けない電源ユニット選びのイロハ

2021年06月04日 17時00分更新

文● 宮里圭介 編集● ジサトラユージ/ASCII

提供: テックウインド

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重要ポイントをしっかり押さえた
SilverStoneのオススメ電源ユニットを紹介

 ここまで電源ユニットの選び方を長々と解説してきたが、チェックすべきポイントをまとめると、「80 PLUSのランク」「モジュラー式かどうか」「電源容量」の大きく3つに集約される。これに加え、静音性やライトアップといった付加価値部分で製品を選ぶようにすれば、満足いく電源ユニットが購入できるだろう。

 とはいえ、初心者がいきなりこれまでの内容を完全に理解して、さまざまな製品の中から最適なものを選ぶというのは難しいだろう。そこで今回は一例として、堅実なつくりで初心者にもオススメな、SilverStoneのEssentialシリーズの製品を紹介しておこう。

 SilverStoneはPCケースから電源ユニット、冷却ファンまで、幅広くPCパーツを扱うメーカーだ。特にPCケースは有名で、タワー型はもちろんだが、オーディオ機器のようなデスクトップケースや、小型PC向けのMini-ITXケースのラインアップが豊富で、そのデザインへのこだわりから、コアなファンも多い。

 このこだわりはPCケースだけでなく電源にも及び、ユーザーの立場から考えられた製品が数多くある。

 Essentialシリーズは、コストパフォーマンスを考えながらも、使い勝手のよさを重視したモデル。中でも550Wの「SST-ET550-HG-Rev」、650Wの「SST-ET650-HG-Rev」、750Wの「SST-ET750-HG-Rev」3モデルは、80 PLUS Gold認証を取得した製品として割安感のあるモデルとなっている。

550W、650W、750Wの3モデルをラインアップ。すべて80 PLUS Gold認証を取得している

 さらに、ケーブルにはセミモジュラー式を採用しているため、不要なケーブルをなくせるというのがメリット。ケース内をスッキリさせたい、小型ケースで使いたいと考えているのであれば、セミモジュラー式がピッタリだ。

モジュラー式の電源なら、必要なケーブルだけに絞れるため、無理にPCケース内へと詰め込む必要がなくなる。これは、セミモジュラー式となる

 せっかくなので、電源ユニットを分解して、内部の様子もチェックしてみよう。なお、電源ユニットの分解は通常利用の範囲を越えており、当然だが保証がなくなる。また、故障の原因ともなるだけに、初心者には推奨できない行為だ。

 今回はあくまで内部にどのようなパーツが用いられているのかを紹介するために分解を実施したが、自身で分解したい場合は、何があっても自己責任で行なってほしい。

 分解して気になったのが、冷却ファンの半分くらいが透明の板で覆われていたこと。

電源ユニットを分解し、内部を見えるようにしたところ。ファンの一部が、透明な板で覆われていた

 実はこれは、電源ユニット内のエアフローを考え、冷却したい部分へと集中的に風を送りこむための工夫だ。覆われていたのは排気口がある方となっていたので、風を一旦電源ユニットの奥まで送り込み、そこから熱を奪って排気する、という流れにしたかったのだろうと想像がつく。こういった細かなカスタマイズまで行なわれている点に、こだわりが感じられる。

 中身は容量の異なる3モデルともほぼ同じで、どこに違いがあるのかわからないほどソックリ。そこで、550Wと750Wの2モデルを部品単位で見比べ、違いの大きかった部分をいくつか紹介しておこう。

 比較的分かりやすかったのが、大きな電解コンデンサーだ。

550Wモデルに搭載されていたのが、容量270μF、耐圧420Vのコンデンサー。メーカーはニチコン

750Wモデルに搭載されていたのが、容量470μF、耐圧400Vのコンデンサー。容量がかなり大きくなっていた。メーカーは日本ケミコン

 これは交流から直流へと変換した電圧を平滑化するのに使われているものと考えられる。電源容量が大きいほど、コンデンサーの容量も大きくなっていた。

 もう1つ、見た目で違いが分かったのが、電圧を変換するトランス部分。こちらでもより大きな電流に耐えられるよう、750Wのほうは大きなものが搭載されていた。

こちらが550Wモデルのトランス。ここで電源に必要な電圧が作られる

550Wのトランスと並べてみると分かるが、750Wのトランスの方が横幅も高さも大きかった

 トランスで変換された電圧は子基板で出力用として整えられ、ケーブルから出力されることになる。この子基板はほとんど違いがなかったのだが、搭載されているMOSFETの型番が異なり、750Wのほうが扱える電流量が大きくなっていた。

550Wに搭載されていた、最終段の子基板。ここで最終的な電圧の調整や平滑化などが行なわれているようだ

 内部の基板を見ていて感じたのは、取り回すケーブルが極力排除され、大きな部品が効率よく並べられているということ。長年の経験による設計で、最適化が進んだ結果なのだろう。

 また、コイルが細かく振動しキーンといった耳障りな騒音が出るコイル鳴き対策もしっかりと施されており、その点にもこだわりが感じられた。

550Wモデルの全体。中央上部、緑の芯に銅線が巻かれたコイルが接着剤でしっかり固定されており、コイル鳴き対策もバッチリだ。これ以外にも、左下や子基板上のコイルもしっかり固定されている様子が確認できた

 80PLUS Goldやセミモジュラー式といった魅力的な特徴を備え、さらに、内部もしっかりと作られていながら、価格が抑えられているというのがSilverStone Essentialシリーズの強み。

 組みたいPCに必要な電源容量の計算が終わったら、550Wの「SST-ET550-HG-Rev」、650Wの「SST-ET650-HG-Rev」、750Wの「SST-ET750-HG-Rev」からピッタリな容量を選んでみてはいかがだろうか。きっと満足いく結果が得られるはずだ。

●良い電源は“重さ”でわかる!?

 ここまで電源ユニットのポイントを解説してきたが、メーカーの方から製品選びに関する面白い話をお聞きした。スペックが似た電源ユニットの場合、「重量が重めの製品のほうが、内部のコンポーネントの密度が高く、良い製品の場合が多い」という。残念ながら今回の記事では検証できなかったが、もし店頭で比べる機会があれば試してみてほしい。

電源ユニットを知って賢い製品選びを

 昨今は若年層にPCゲームの人気が高まっていることなどもあり、これまでよりゲーミングPCの需要が増している中で、自作PCやBTO PCに関心を持つ人も増えている。しかしそうしたPCのスペックを選ぶうえで、電源ユニットは初心者にはなかなか違いが分かりづらい部分だ。

 そんな電源ユニットにも、ここまで見てきた通り、さまざまな製品選びのポイントが存在する。最近自作PCに興味を持ち始めたという人はもちろん、BTO PCの購入を検討している人も、電源ユニットのスペックを確認する術を知っておいて損はないだろう。この記事が製品選びの一助となれば幸いだ。

(提供:テックウインド)

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