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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第607回

Rocket Lakeが14nmプロセスを採用した本当の理由 インテル CPUロードマップ

2021年03月22日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 今回はインテルのCPUロードマップアップデートだ。Rocket LakeとIce Lake-SP、最後にXe-HPGの話をしよう。CPUロードマップと言いつつ、最後にGPUの話も入っているが、まぁいいだろう。

Rocket Lakeアップデート
Cypress CoveはSunny Coveの14nm版

 米国時間の3月16日にRocket Lakeの詳細が公開され、ジサトライッペイ氏によるレポートも上がっているが、このレポートにいくつか補足を入れたい。

Rocket Lake最上位の「Core i9-11900K」

 まずCypress Coveの話を。ジサトライッペイ氏によるレポートではWillow Coveの移植とあるが、実際にはSunny Coveの移植(というよりバックポート)である。

 要するにTiger Lakeを14nmに持ち込んだのではなく、Ice Lakeの14nm版である。時系列的に言っても、Tiger Lakeの出荷開始は2020年9月なので、シリコンの検証が終わったのは早くても2020年5月か6月。ということはテープアウトは2019年末~2020年初頭と思われる。

 ここから14nm++にバックポートしたら、テープアウトは2021年末になりかねないので、どう考えても間に合わない。Ice Lakeはすでにモバイル向けに加えてXeon向けのSkylake-SPの実装もとっくに終わっているし、そもそもインテルのツイートにもあるように、Ice Lakeの最初のテープアウトは2017年6月のことである。

 この時はまだ14nmにバックポートする予定はなかったはずだが、その意味ではこの後はいつでもバックポートを始められたわけだ。昨年7月に7nmプロセスの遅延が発表されたが、社内的にはこれより前に「駄目そうだ」という観測は当然あったわけで、どこかのタイミングでバックアッププランとして10nm向けアーキテクチャーのバックポートを始めたとしても不思議ではない。そうなると当時利用できるコアはIce Lakeしかなかっただろうし、Ice Lakeを利用するのが妥当であっただろう。

 そのRocket LakeはComet Lake比で19%の性能改善があるという話になっているが、もともとIce LakeはSkylake比で18%のIPC向上があるという話であり、Tiger LakeはIce Lakeに対してさらにキャッシュ周りの改良を加えているから、おそらくIPCの向上率は20%を超えるだろう。

Ice LakeはSkylake比で18%のIPC向上がある。画像は連載514回より

 ちなみに、1%の差はどこから出てきたかは不明だが、メモリーコントローラーの差(DDR4-2933→DDR4-3200あたり)かもしれない。

 プロセスそのものは基本的にはComet Lakeと同じ14nm++であるが、「随時プロセスの改良を進めているので、細かな最適化などはしているから厳密に言えば若干異なる」という話であった。Sunny Coveベースということは、当然キャッシュ構成などもIce Lakeと同じになる。

“Intel 64 and IA-32 Architectures Optimization Reference Manual”より。こうしてみると、Sunny CoveもIce Lakeの延長にあるという感がありありとわかる

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