■期間限定の特典は復活するか
新料金プランの特徴だった「シンプル」が損なわれる、もう1つの要素も現れました。それが「期間限定」特典の復活です。
KDDIは、2021年夏までにpovoに申し込んだ場合、家族割のカウント対象にすることを発表しました。家族でauを使っている場合でもpovoに移行しやすくなるもので、ahamoが恒久的にカウント対象にすることへの対抗策になっています。
ソフトバンクは、LINEMOの通話オプションについて1年間月額500円を割り引くキャンペーンを発表しました。5分かけ放題または完全定額のオプションをつける場合、最初の1年は値下げ後のahamoよりも安くなる計算です。
いずれも消費者にとって有利な変更として歓迎したい気持ちはあるものの、新料金プランは複雑な割引をなくした「シンプル」が売りの1つだったことを考えると、一歩後退した印象を受けます。
ただ、KDDIやソフトバンクの場合、ブランド力のあるNTTグループと完全に横並びの価格では不利と言わざるを得ません。NTTに対抗して少しでも安く、その上で利益も出さなければならない厳しい要求がある中で、やむを得ない方法ともいえます。
いったんはシンプルになったものの、多種多様な要求に応じることで複雑になっていく歴史を繰り返してきた携帯電話業界ですが、今回も例外ではないということでしょう。
この連載の記事
-
第270回
スマホ
iPhone値上げ、Pixel躍進──2022年のスマホを振り返る -
第269回
Apple
アップル「iPad(第10世代)」なぜ値上げ? -
第268回
iPhone
iPhone「mini」ユーザーはどこへ向かうのか -
第267回
Apple
アップル「M2 MacBook Air」M1ユーザー視点でレビュー -
第266回
スマホ
iPhone値上げ 高コスパAndroidにチャンスはあるか -
第265回
Apple
アップル製品の「壁」を取り払う新機能に注目 #WWDC22 -
第264回
スマホ
メガネをかけると大画面? 「Nreal Air」を試した -
第263回
ビジネス
在庫不足のアップル、コスト増のアマゾン──GAFA決算、各社の課題浮き彫り -
第262回
PC
出張用のPCやモバイル回線を見直した -
第261回
Apple
アップル「Mac Studio」Mac miniから買い換える価値はある? -
第260回
スマホ
楽天モバイル「Apple Watch」は新たな強みになるか - この連載の一覧へ