●iPhoneを組み立てられるか?
そんなデザイン思考のプロセスは、潜在顧客へのインタビューからアイデアを作り出し、プロトタイプを作って再びインタビューと顧客の意見に寄り添いながらサービスや製品を作っていくことになります。
そこで学生たちの頭に浮かぶ疑問は、「これでiPhoneが作れるのか?」という話です。
デザイン思考の例として説明しやすいのは、個人的にはiPodだと思っています。しかし現在の大学生にとって、CDやMDの話をしても通じないのと同じように、iPodの話もまた通じない話題です。現役大学生が生まれていなかったし、物心つくころにはすでにiPhoneが存在していたわけで、iPodの例をiPhoneに変えて、デザイン思考のメリットとデメリットを説明するようにしています。
たしかに、話をシンプルにすれば、顧客はiPhone以前のスマートフォン、すなわち小さな画面と極小のフルキーボードが付いるBlackberry的なデバイスにあふれており、あのキーボードにして「メールが打ちやすい」と評価されていました。
そうした環境で学生がインタビューを繰り返し、アイデアを作り出したら本当にiPhoneが生まれたのか? と言われると、正直なところ難しかったのではないか、と思います。
顧客は、そもそも反応が鈍かったタッチパネルにいい印象を持っていなかったでしょうし、そうした技術的な進歩のアイデアを顧客に求めることは難しく、学生自身がそうした技術に精通し実装する力がなければなかなか思いつかないだろうと思うからです。
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