Excelの入力に慣れた村人に「krewSheet」を
業務改善の経験を経て、さらに活用応援サポートページで知識を得たオレは、ザキヤマとともにエクセル王国にkintoneを普及させるべく、日々活動を続けた。ザキヤマによるとkintoneユーザーの満足度の総量が一定数高まると、オレは元の世界に戻ることができるらしい。
エクセル王国はRPGでよくある中世風の世界だが、パソコンは使われており、とにかく何でも表計算ソフトを使う。帳簿や書類、リストにできるものは片っ端から表計算ソフトが使われており、やたらコメントが付けられる。「これってクラウドがなかった10年前の日本の会社では?」とよく思う。そして、表計算ソフトを駆使して、あらゆる書式を作ってしまうプロフェッショナルは「方眼士」と呼ばれ、村中で重宝されている。
「ザキヤマ、なんだかエクセル王国はみんな表計算ソフトなんだな」
「この国のパソコンには表計算ソフトしか入っていないからな。でも、どれが最新バージョンかわからなくなって困ってるユーザーもいるぞ」
「『リスト最新版20210214_オオタニ版Ver2』みたいなファイル名が付くやつな」
「誰かがファイル開いてて、編集できないというユーザーもいる」
「『オオタニさーん、編集したいので、ちょっと閉じてもらえますー?』って内線するやつな」
「そもそもファイルがでかすぎて、開かないというユーザーもいる」
「『もともと小さなCSVファイルだったのに、どんだけ食べたらこんなサイズになった』ってやつな」
「オオタニ、若いくせに詳しいな」
表計算ソフトは昔使っていたので、いいところも悪いところもよくわかる。そこでオオタニがクラウドであるkintoneをデモすると、村人たちは驚きながら、少しずつ使ってくれるようになった。
しかし、kintoneを使う上で、最初の課題になっていたのは、やはり入力と編集だった。kintoneのよさはわかっても、村人たちは表計算ソフトに慣れきっている。不満のコメントは耳に入っていたが、今日は村でkintone導入を担当してくれたワラスガがまさにわらにもすがる表情でオレとザキヤマの元に駆け込んできた。
「オオタニさん、助けてください! 村人がkintoneを使ってくれません。特に村長は『オレはもう表計算ソフトに戻す!』と言って聞かないのです!」
「せっかく在庫管理にkintoneを使おうとしているのに、どうしたんですか?」
「kintone画面だと入力がしにくいとか、ステータスを確認しにくいとか、状況が把握しにくいとか言い出したんです。このままでは村のkintone導入が頓挫してしまいます!」
「くっ、表計算のように編集したいだと? こんなときにkrewSheetがあれば!」
会話を聞いていたザキヤマが指さしたのは、krewのお姉さんからもらった「K」ロゴの入った3つのハコだ。なんと、まったく開かなかった3つのハコのうちの1つから光が漏れて、ハコの鍵まで開いてしまった。あとで聞いたところ、村人の会話データがハコ経由でクラウドに送信され、AIで分析した結果、困り度がマックスだったため、自動的に発光&解錠されるというIoT的な仕組みだったらしい。もちろん、中身はkrewSheetのライセンスキーだ。
さっそく村のkintoneに第一のkrewであるkrewSheetをあてがうと、なんとkintoneの画面が表計算ソフト風に。
「こ、これなら入力も簡単です!表計算ソフトのように入力できるし、全体をチェックするのも便利だし、そのまま編集できるので助かります!」
「kintoneをまるで表計算ソフトのように変えてしまうkrewSheet、さすが。プラグインを使うことで、こんなに使い勝手が変わるなんて!」
長らくkintoneだけでがんばってきたオレ。プラグインはプロが使うモノ、プラグインなんて使わなくても表計算ソフトの代わりになると思っていたオレ。でも、村人たちの喜びを見ていると、そんなこだわりは実にはつまらないことがわかる。krewさすがだぜ。