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実機レビュー

AirPods Maxのメリットはアップルユーザーのためだけなのか?

2021年02月17日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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オーディオ的に見たAirPods Max

 はじめにオーディオ的な側面からAirPods Maxをレビューするために「iPhone12 Pro」で試聴した。別売りのケーブルで有線にすることもできるが、音はすべて、Bluetoothのワイヤレス接続で聞いた。

 前提として「空間オーディオ」とiOSの「ヘッドフォン調整」機能はオフにして聞いた(これらの音への影響については後述する)。つまり、素の状態で聴いた感想からだ。

独特なアーム部のデザイン

 まず、印象に残ったのは、音の広がりが三次元的なことだ。素の状態で定位感が良く、音場が広い。空間に広がるような音だ。他のBluetoothヘッドホンと比べても、この点はかなり優れていると思う。三次元的な音場の立体感に優れていて、アンサンプルでの楽器の重なりがはっきりと分離されてわかりやすい。

 次に豊かな低音が印象的だ。豊かと言っても単に低音を誇張したのではなく、超低域までたっぷりと再現し、充実した量感がある。一方、ジャズのダブルベースは量感を出し過ぎずによく抑えており、不要な低音誇張がない。結果、超低域まで音が沈み込むので、かなりワイドレンジに感じる。

 ただし、コンシューマ向けヘッドホンの音作りに慣れている人には少し物足りなさがあるのかもしれない。

ドンシャリに慣れた人は違和感を感じるほど素直なサウンド

 音空間は、Bluetoothヘッドホンとしてはかなりクリアな方だと思う。着色感は少なく、オーディオにも映画鑑賞にも向いていると思う。

 聞いていて気が付くのは、楽器の音が端正で明瞭感が高いことだ。歯切れが良く、パーカッションの打撃感が強く小気味良い。ハープを爪弾く音の響きも美しく明瞭に感じ取れる。全体にアコースティック楽器の音色が美しく、歪みなく聴こえる。高域のベルやハイハットの音も美しく澄んで響き、なかなか上質だ。また、高域が鮮明でよく聞こえるわりには、音のきつさが少ないので、長時間聴いていても疲労感は少ないだろう。これもおそらく映画鑑賞を意識していると思う。

 ヴォーカルも綺麗で、あまり低域が被っているように感じられないので、歌詞も明瞭に聞き取れる。解像力も悪くないので、囁くようなヴォーカルでもリアルに楽しめる。どちらかというと女性ヴォーカル向けの音ではある。

 全体的な音色としては、Beyerdynamicの「T1p」や「T5」などに近いように思う。やはりマグネットの強さがサウンドのポイントになっているのかもしれない。

筆者には凝りすぎと感じたカバー

 とはいえ、能率は少し低いのでややボリュームは取りづらいが、ダイナミックレンジを最大にするため、低レベルで録音したアルバムなどでも、ぎりぎり音量が取れるくらいの音は出るので、そこも考えて設計されているように思う。普通にロックやポップスを聴くならまず問題はない。

 帯域バランスはフラットと言えないまでも、かなり良いと思う。ゼンハイザーの「HD 800」のような徹底したレベルではないが、良質なスタジオモニターヘッドホンのような音作りだと思う。ただし音場の広さや、超低域の量感の豊かさなどは、映画鑑賞に向いたテイストが加わっている感じだ。つまり、オーディオマニアでも納得できるような音質は確保しつつも、映画鑑賞を念頭に置いた音作りをしていると思う。

 逆に、コンシューマ向けのドンシャリな音に馴染んでいる耳だと、もの足りなさを感じるかもしれない。

 3万円前後のANCワイヤレスヘッドホンの水準と比べて、だいぶ音質は高く、オーディオ部分だけ考えても値段分の価値はあるかもしれない。

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