2021年1月2日。どうも元日に自転車で走り回ったら気持ち良かったようで、新年早々2日連続自転車散歩である。ちょっと郊外に向かって裏道を自転車で走るってのはなかなか快適で良い。空気も澄んでて綺麗だし、街全体がそこはかとなく静かなのも良い。のんびり走り、猫の姿を見つけたら、ちょっと手前で止めてそっと近づく。猫の方も自転車が止まって人が出てきたら絶対に気付くので、こっちも慌てない。逃げ腰の猫を撮っても楽しくないからね。それに民家の庭先だったりすると、不用意に撮れない。そういうときは時の流れを緩めてゆったり待つ。すると猫の方が好奇心に負けて出てきたりするのだ。
今回のカメラはソニーの「α7C」。2020年の秋に発売された、α7シリーズの末弟というか、Vlogなどの動画も念頭においた小型モデルなのだけど、小さいので自転車で運ぶにはすごく良いのだ。性能的にも末弟的なのだが、価格も手頃だし(約19万円)、何より携帯性が高い。高性能で太くて重いレンズよりも、コンパクトで軽いレンズをつけて楽しくスナップを撮るのに向いてる。で、せっかくだから猫と一緒に撮ろうと思ったらのぞき込まれてしまったの図だ。
この白黒の猫は、とある団地の猫。以前、この団地で猫を見かけたことがあるので、いるかなーと思って足を伸ばしてみたのだ。でも広大な団地のこと、そうそう見つかるものじゃない。時間はあるし天気もいいしってんでのんびり歩いてると、なんてことない道端にしゃがんでる女性を発見。「あ、猫かも」とそっと見てみると、そこにハチワレがいたのである。
新年早々不審者扱いされるのも嫌なので一声かけて一緒に猫と遊ばせてもらう。この団地に祖母が住んでいて遊びにいく途中だという。話をしながら猫と戯れていると、別の人がやってきて猫に挨拶をしていく。どうやら団地ではなじみの猫らしい。正月だから出歩く人も少なく猫も使われなくなった駐車スペースでのんびりゴロゴロしてる。
良いですなあ。耳もカットしてあり(去勢手術済みの証)、きちんと世話されてるんだろう。
そうそう今回の写真は、標準ズームレンズではなく、シグマの35mm判換算F2 DG DNと、65mm F2 DG DNを使って撮影してる。これがまた写りが良くて、程よい大きさでα7Cにピッタリなのである。
この日は猫運があったのか他の場所でも遭遇。農家の入り口あたりで2匹の猫が日向ぼっこしてたのだ。
警戒されていたので座ってじっとしてると、うしろの方から別の猫がわたしを遠巻きにしながら近づいてきた。いや、近づいてきたと思ったら、そっと距離を取って脇を抜けていく。気になるけど近づくのは怖いって時のパターンだ。その抜き足差し足っぷりが良かったので、猫瞳AFを発動させてそっと撮影したのが冒頭写真だ。
さらに、そろそろ帰ろうかと走っていると、大規模な公共工事のせいか少し土地が削られて剥き出しになった屋敷神のほこらを発見。青空と小さなほこらのコントラストが良かったので自転車を止めると、なんかいる! 冬の低い日差しがほこらにいい感じに差し込んでいて暖かいからか、猫が寝てたのだ。もう猫のためにあるのではないかというようなぴったりサイズで思わずカメラを向けたのである。ちょっと遠かったけど、青空とほこらと猫といういい写真が撮れた。
というわけで、12月に出たシグマのIシリーズレンズ、35mm判換算 F2と65mm F2を見たときに、これはコンパクトなα7Cと組み合わせたら良さげじゃね、と試してみたら、予想以上に画質と携帯性を兼ね備えた良いスナップ撮影セットだったのである。それでいてフルサイズセンサーのクオリティーを楽しめるのだ。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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