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富士通クラウドテクノロジーズ、ネクストモードの2社が登壇「Slack Tour Japan Online」講演レポート

効果を実感できる「Slackと業務システムとのかしこい連携」

2020年12月23日 08時00分更新

文● 指田昌夫 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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基幹システムとSlackの連携が絶大な威力を発揮

 次に、2社がそれぞれの業務システムとSlackの連携事例を紹介。最初に富士通クラウドテクノロジーズの五月女氏が、営業、マーケティングの現場が使う「売上情報レポーター」というシステムを説明した。

 これは、基幹システムで管理する売上情報のデータを基に、Slack上のBotが月次の予算に対する進捗率などをグラフで表示してくれるもの。何の、データのどういうグラフが見たいかをSlackでBotに指示すると、グラフ化した結果を返してくる。

 「いわゆるBI(ビジネスインテリジェンス)をSlack上で実現している。これまでのBIは、現場社員には敷居が高かった。だがこのシステムを入れたことで、リアルタイムの情報がわかるようになり、変化があればすぐにメンバー間で共有して、Slack上で対策を検討することができる。複雑な基幹システムの操作が不要で、誰でもいつでもSlack上から分析が可能だ。これによって“データの民主化”ができたと思っている」(五月女氏)

富士通クラウドテクノロジーズのSlack Bot「売上情報レポーター」。Slackからの指示で基幹システムの情報を取得、見やすいかたちで可視化してくれる

 インターネット非公開の社内システムとSaaSの連携は、難しいものと思われがちだ。同社の顧客管理システムはSaaS(Salesforce)だが、売上管理システムはプライベートクラウド上に構築している。この両者のインターフェースとしてSlackを使えるようにすることで、現場でも使えるBIを実現した。

 BIとはいえ、Slack Botに出せる指示は簡単なものに限られる。しかし五月女氏は「むしろそこがいい」と話す。「多機能なBIの場合、きれいなグラフィクスを作ることに時間をとられてしまう。そうではなく、シンプルなデータをもとに、どんどん議論を重ねて対策をしていくことが重要だ」(五月女氏)。

同社ではプライベートクラウドにある社内システムもSlackと連携させている

ワークフローの機能強化に期待

 次にネクストモードの里見氏が、営業の資料確認にSlackのワークフロービルダーを使っている例を紹介した。

 たとえば営業担当者が、作成した見積書を上司に確認してもらうフローを考えてみる。従来のやり方では、見積書のファイルをメールに添付したり、共有サーバーに保管したうえで、上司に「確認をお願いします」と依頼するのが一般的だった。上司側では、それが緊急の案件かどうかはファイルを開かなければわからなかった。

 ネクストモードではここでSlackのワークフロービルダーを使い、見積書の内容や確認依頼の緊急度などが書かれた定型メッセージを自動配信する仕組みを作った。見積書の作成フォームは「Google Workspace(G Suite)」上にあり、ここからデータを取り出して自動でメッセージを作成している。確認/承認する上司の側も、いちいち見積書ファイルを開かなくても内容が確認できるため、業務が大幅に効率化されたという。

「資料確認依頼」のワークフローを作成、確認作業を大幅に効率化できた

 同様に、社内決裁フローも作っている。これはワークフロービルダーを使い、Backlog→Slack→Gmailという3つのSaaSを連携させて実現している。

 またシステム連携とは直接関係ないが、創業から3カ月ほどで、作成したSlackのカスタム絵文字は475個にも達しているという。「それだけ当社にとってSlackが浸透し、活用されているということの証だと思う」と里見氏は語った。

 里見氏の話を聞いて五月女氏は、「創業から30年以上経つうちのような会社も、ネクストモードのような生まれて間もない会社でも、Slackを同じようにカルチャービルディング(社内文化の醸成)に使っていることが面白い」と感想を述べた。

 里見氏も「オンプレミス中心でやってきた会社は、クラウドとの連携が難しいという先入観があったが、五月女さんの取り組みを聞いて、Slackをうまく活用すればできるということがわかり、目からウロコだった」と語った。

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