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Work.comとの統合で複雑さ、スピード、セキュリティの課題を解消

IDaaSを展開するOktaがセールスフォースと提携 Work.comとの統合を実現

2020年10月08日 10時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 クラウド型のID管理サービスを手がけるOktaは、セールスフォース・ドットコムとの新たな提携を発表。Oktaのアイデンティティ管理プラットフォームである「Okta Identity Cloud」と、セールスフォース・ドットコムの「Work.com」を統合して利用できるようになる。これにより、Work.comを迅速に、安全に展開することが可能になり、社員のセキュリティを守りながら、適切なアプリを適切なタイミングで提供できる。また、企業や従業員が安全な環境で仕事を再開できるようにでき、長期的なビジネスの復元力と継続性を支援できるとしている。

Okta エグゼクティブバイスチェアマン兼COOのフレデリック・ケレスト氏

コロナ禍においては分散して働く社員の管理に課題

 セールスフォース・ドットコムのWork.comは、従業員や顧客、コミュニティの安全を維持するための信頼性と復元力を構築するツールで、健康データをモニタリングできる「コマンドセンター」、従業員のシフトや稼働状況を管理する「シフト管理」、緊急時の対応を自動化する「緊急時対応管理」などの機能を提供している。今回のOkta Identity Cloudとの統合によって、人事部門やワークプレース部門、IT部門では、Work.comの利用において、運用や管理を効率化できるほか、場所を問わずに利用したり、ソリューションのセキュリティと保護を強化したりできるという。

 Okta エグゼクティブバイスチェアマン兼COOのフレデリック・ケレスト氏は、「セールスフォース・ドットコムは、コロナ禍においても、ビジネスの継続を支援し、管理する点ではリーダー的存在である。Work.comは、社員がリモートで働いても、オフィス内で働いても、管理ができるツール。今回のOkta Identity Cloudとの統合で、認証、プロビジョニング、セキュリティといった点でのメリットを提供できる」とアピールする。

Oktaを使用してwork.comを迅速に安全に展開

 その上でコロナ渦での社員の管理について言及。「コロナ禍で、企業は、分散して働く社員の管理をどうすればいいのかを考えなくてはならなくなった。また、いつ、どこで、どのようにオフィスを再開するのか、企業は次になにをすべきかといったことも考えなくてはならない。今回の統合で、こうした課題においても、データをもとにした意思決定ができる。企業やコミュニティにとっても、従業員や顧客に対する信頼関係を構築することができるようになる」などとした。

OktaとWork.comとの統合で解決される課題とは?

 今回の統合では、「複雑性」、「スピード」、「セキュリティ」という3つの観点から課題を解決できるとしている。

統合によって解決される3つの課題

 1つめの「複雑性」の課題解決では、セールスフォース・ドットコムを利用している企業の社員は、既存のアイデンティティプロバイダーや、Active Directoryなどの企業ディレクトリを活用して、ワンクリックでWork.comにログインできる点をあげる。

 多くの企業では、提携先への業務委託や非正規社員の採用など、様々な契約形態を活用しており、それが運用や管理の複雑性を増している。委託先のディレクトリと統合したり、Okta Universal Directoryにアイデンティティ情報を保存することで、外部委託先にもシームレスなアクセスを提供し、拡張するエンタープライズに生産性の向上をもたらすことができるという。「委託先ごとに異なるデバイスにも対応することが可能であり、その点でも複雑性を解決できる」とする。

 2つめの「スピード」では、自動プロビジョニングの機能強化をあげる。Okta Workflowsにより、自動プロビジョニングを強化。IT管理者は、特定の役割を担うユーザーを、Salesforce Permission Set Groupsに割り当てて、それらのユーザーがWork.com内でアクセスできるタスクや履歴を、細かく制御、管理できる。「企業を取り巻く環境や、働き方が変われば、使用するアプリやデータも変化する。そうした変化にあわせて、アプリを迅速にデプロイし、社員の生産性を高めることができる」とした。

 また、Okta Lifecycle Managementを用いることで、IT管理者は、Workdayなどの人事システムからWork.comにデータを同期させて、自動的に、Work.comにユーザーを登録することができるようになる。「IT部門の負担を軽減しながら、組織が迅速に、安全に、Work.comを使用することができる」とする。

 3つめの「セキュリティ」の強化では、Okta Identity Cloudと、Work.comの統合によって、IT管理者はユーザーのプロビジョニングとデプロビジョニングを簡単に行い、詳細な権限の制御を確立できることを示したほか、Work.comの機密データにアクセスする可能性のある特定のユーザーやグループに、多要素認証を用いて、セキュリティを維持し、組織を守ることができるとした。

 さらに、「従業員の安全な環境を維持しながら、どのオフィスを再開できるのかといったことを意思決定する際には、企業が持つ機密性の高いデータを活用することになる。認証やセキュアなアクセスなどによって、機密性の高いデータを、どんな場所から、どんなデバイスからアクセスしても、Adaptive Multi-factor Authenticationと、SSOで保護できる」と述べた。

 また、「セキュリティリスクを排除し、エンドユーザーの生産性を高めるには、自動化と技術の統合は不可欠である」とし、「自動化によって、⼿作業での実装プロセスによるアクセスの遅延、 機密データによるセキュリティリスクの増加、エンドユーザーの生産性への影響といった課題も解決できる。IT部門の業務を削減し、手作業がなくなるためにミスが減り、デプロイを加速化できる」とした。

アイデンティティ中心のゼロトラストセキュリティを実現

 そして、今回の両社の提携は、短期的なものではないとする。ケレスト氏は、「今後も、セールスフォース・ドットコムとの取り組みは継続していくことになる。より安全に、より有効なエクスペリエンスを提供でき、より自動化を進めることができる。よりよい環境を提供できるだろう。社員の生産性を高め、社員をしっかりと守り、適切なアプリを、適切なタイミングで提供できるようになる。世界中の企業が従業員、顧客、コミュニティの安全を維持するために、ツールへのセキュアなアクセスが可能になる」などとした。

 一方でケレスト氏は、「Oktaは、すべての企業があらゆるテクノロジーを利⽤できるようにすることをビジョンに掲げている。その中核となるのが、Okta Identity Cloudであり、ここには3つの特徴がある」と述べた。その上で、「1つは、いかなるベンダーからも独立し、中立であるWorkforce Identityプラットフォームを持っていること、2つめには拡張性があり、セキュアなCustomer Identityプラットフォームを実現していること、そして、3つめには、アイデンティティ中⼼のアプローチによるゼロトラストセキュリティを実現している点である。業界で唯一、クラウドによって提供されるアイデンティティプラットフォームであり、あらゆるアクセス管理のユースケースに対応できる」とする。

 また、「柔軟性と拡張性が高いのも特徴であり、中立性を生かしてOkta Integration Networkにより、6500以上のアプリとつながり、もっとも広範なエコシステムを構築している。これによって、アプリへのシングルサインオンや、自動化されたプロビジョニング、ゼロトラストインテグレーションなどを実現している」と語り、「今後、日本における存在感が拡大することを楽しみにしている」とした。

 Oktaは、今年9月に日本法人の設立を発表。代表取締役社長には渡邉崇氏が就任している。

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