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山根博士の海外モバイル通信 第513回

Wikoのスマホ、覚えていますか? 高画質カメラ搭載の「View 5」が登場

2020年09月18日 10時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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Wikoの最新スマホVIEW 5 Plus(左)とVIEW 5(右)

 2017年に日本に参入し、その後スマートフォン4機種を出したものの日本市場からひっそりと姿を消してしまったWiko。その後2020年1月に楽天モバイルから発表された「Rakuten Mini」の輸入元がWiko Japanということで、久しぶりにその名前を聞いた人もいたことでしょう。

 Wikoの親会社Tinno Mobileは、Wiko外にもSugarブランドのスマートフォンを製造しています。しかし現在は台湾市場で細々と製品が売られる程度。Wikoはヨーロッパで、Sugarは中国などで一時はメジャーブランド入りをしていましたが、現在は存在感を失いつつあります。日本でも最後に製品を出したのは2019年2月でした。

Sugarのスマホ。Wikoの親会社、Tinno Mobileの製品だ

 しかし、Wikoはまだ完全に市場から撤退はしていません。2020年に入ってからも大画面モデル「VIEW 4」を出すなど頑張っています。9月には最新モデル「VIEW 5」と「VIEW 5 Plus」を発表しました。本来なら同月にベルリンで開催される展示会、IFA 2020にブースを出して華々しく発表をするはずだったのでしょう。ですがIFAがオンライン主体のイベントになったこともあり、VIEW 5シリーズはひっそりとローンチされました。

 VIEW 5とVIEW 5 Plusの基本スペックは同等です。ディスプレーは6.55型(1600x720ドット)、カメラは4800万画素の広角、800万画素の超広角、500万画素のマクロ、200万画素の深度測定。フロントカメラは800万画素。チップセットとメモリーはVIEW 5 PlusがMediaTekのHelio P35にメモリー4GBとストレージ128GB、VIEW 5がHelio P22にメモリー3GBとストレージ64GB。両者の差はマシンパワーの差となります。バッテリーは5000mAhと、比較的大容量のものを搭載します。

4800万画素カメラ搭載もVIEW 5シリーズの魅力

 2モデルとも2月発表の「VIEW 4」シリーズのアップグレードモデルという位置づけのようで、スペックが細かく高まったほかに、本体デザインも大きく変えています。VIEW 4シリーズの背面は2018年あたりから主流のカメラを左上から縦に複数並べたデザイン。今となっては一般的なルックスです。一方、VIEW 5シリーズは正方形の台座の角にカメラを配置した最近のトレンドを取り入れています。Wikoのスマートフォンは性能よりも価格やデザインで選ばれる傾向がありますから、トレンドに乗った外観の製品の投入は必須でしょう。

VIEW 5 Plus(上)とVIEW 5(下)のカラバリ。カメラは正方形デザインとなった

 また外部端子がVIEW 5からようやくUSB Type-Cになりました。2020年に入ってもWiko のスマートフォンはマイクロUSB端子を搭載しており、VIEW 5シリーズが同社初のType-C搭載モデルとなります。

 機になる価格はVIEW 5が169ユーロ(約2万1000円)、VIEW 5 Plusが199ユーロ(約2万5000円)。Wikoらしいお手軽価格は注目を集めそうですが、今やヨーロッパにはシャオミやOPPO、そしてRealmeも参入しています。100ユーロ台の低価格スマートフォンを販売してるメーカーが増えており、OPPOは若い世代を狙ったイメージ戦略でWikoのユーザーを着々と奪い取っていると思われます。

OPPOの低価格ライン、Aシリーズのイメージ広告。ターゲット世代はWikoとかぶる

 Wikoの特徴は「安さ」「ファッション」でした。しかしどちらも中国メーカーが変わらぬ製品を出している今、ハイエンドモデルを出していないWikoは、ブランドイメージを維持することも難しいでしょう。前述した中国3社は5Gスマートフォンや高画質カメラモデルもすでにヨーロッパに投入しています。

 Tinno MobileはRakuten MiniなどのOEM、ODM製造メーカーとしてこれからもそつなくビジネスを展開していくことでしょう。自社ブランドのWiko、Sugaraが売れなくても、相手先ブランドの製品開発や製造の依頼があれば困りません。とはいえ、ヨーロッパではまだブランド力のあるWikoだけに、他社にはない独自の機能やデザインを備えた製品を出して存在感をまた示してほしいもの。

豊富なデザインのスマホカバーはWikoの得意分野

 そして日本では結局発売に至らなかった「くまモンスマホ」も、何らかの形でぜひ出してほしいところでしょう。スマートフォンの低価格化が進む中で、「キャラクタースマホ」は差別化の大きな武器となります。日本のゆるキャラのスマートフォンをWikoが出す、なんてことになったら面白いと思うのですよね。

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