Tiger Lakeはかなり性能が高そう
最大5GHzで消費電力も100Wに収まるかも
Tiger LakeはコアもWillow Coveに切り替わるわけであるが、Sunny CoveベースのIce Lakeとの電圧/動作周波数の関係を示したのが下の画像だ。
さて、ここで例に挙げているSunny CoveはおそらくIce LakeのハイエンドであるCore i7-1065G7と思われる。こちらは定格1.3GHz/Turbo Boost 3.9GHz動作になるが、これを10nm SuperFinで作り直す場合、まず定格は1.9GHzくらいまで引きあがり、Turbo Boostは4.7GHz位まで引っ張れると思われる。
Ice Lakeでの3.9GHz動作時の消費電力は、インテルがIce LakeのPL2の値を公開していないので不明であるが、テストによればおおむね50W近いとされており、つまり4コア4.7GHzのコアなら50W程度で動作する可能性があることになる。
この数字は、デスクトップに持ち込むのも不可能ではない範囲と思える。8コア4.7GHzで100W、というのは(相変わらず高いな、という気はするものの)昨今の消費電力の増えたインテルのデスクトッププラットフォームには十分利用可能な範囲だからだ。
また電圧を引き上げた時、最大で5GHz近くまで引っ張れるというのも、やはりデスクトップ向けにはありがたい特性であろう。
これらのことから、Tiger Lakeは(このスライドが嘘でなければ)かなり性能が高くなりそうではあるが、それだけでなくデスクトップ向けにもこの10nm SuperFinを使った製品が現実的に利用できそうに思われる。
Rocket Lakeは8コア12スレッドという
不思議な構成になるかも
その10nm SuperFinを使った製品の話をしよう。2021年のTimeframeで、新たにAlder Lakeが正式発表された。
こちらはKoduri氏が明確に“Golden CoveとGrace Montを合わせた製品”になるとしており、連載574回で書いた予想が外れた。
ということは、Golden Cove単体はSapphire Rapidsに利用され、デスクトップ向けはハイブリッドのAlder Lakeのみになるのか、それともデスクトップもGolden CoveのみとAlder Lakeのコンビネーションになるのか、現状では不明なままである。さらに言えばGolden Coveの詳細も現状ではまったく不明なままである。
Alder Lakeについて言えば、Koduri氏が“新しいハードウェアベースのスケジューラーを搭載”といっているあたり、big.LITTLEの処理をある程度ハードウェア側でオフロードできるように工夫されているのかもしれない。
現状ではコア数を含めてまだ不明なことが多いが、これはもう少し投入時期が近付けば明らかにされることになるだろう。ただはっきりしているのは、2020年にはなにもないということ。そのためRocket Lakeでしのぐことになるだろう。
ちなみにそのRocket Lake、8コア12スレッドという不思議な構成になっているという話が聞こえてきている。要するに8コアあるうちの4コアはハイパー・スレッディングが無効化されているらしい。
理屈で言えば、ハイパー・スレッディングを無効化すると、若干ではあるが同じ消費電力枠のまま、動作周波数を引き上げることはできる。シングルスレッド性能が必要な場合はハイパー・スレッディングを無効化したコアにスレッドを割り振り、スレッド数が必要な場合には全コアを使うといった形だろうか?
これは、将来のWindows 10がAlder Lakeに対応したスケジューラを導入することを踏まえて、その前段階としてこうしたヘテロ構成のプロセッサーを導入するといった意味合いもあるのかもしれない。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ














