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大企業と取引先中小企業間でのセキュアかつ簡単なファイル転送ニーズにも新たに対応

セゾン情報、ファイル連携SaaS「HULFT-WebConnect Ver.3」発表

2020年08月07日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 セゾン情報システムズは2020年8月6日、インターネット経由でファイル転送や自動処理(ファイル連携)を行うSaaS型サービスの最新版「HULFT-WebConnect Ver.3」を発表した。新たな転送手段として、利用企業側でのライセンス契約や設定が不要なクライアントソフトを追加し、大企業と中小企業間でのセキュアなファイル転送ニーズにも対応した。8月17日より提供開始。

「HULFT-WebConnect Ver.3」の提供イメージ。従来の転送方式に加えて、新たにライセンス不要で簡単に導入できる「D-Client」が追加された

セゾン情報システムズ 取締役執行役員 HULFTビジネスユニット長の山本善久氏、同社 テクノベーションセンター Product Managerの樋口義久氏

 HULFT-WebConnectは、インターネット経由でセキュアかつ手軽なファイル転送/ファイル連携ができるSaaS型サービス。専用回線の工事や機器が不要で導入が容易、ファイル転送の自動化やファイル連携に必要な機能を標準搭載、二重暗号化(経路暗号化+ファイル暗号化)によるセキュアな転送といった特徴がある。

 2015年にリリースされたVer.1は対地にあるHULFT-HULFT間を接続する仕組みだったが、ユースケースの拡大に合わせて機能拡充を図り、2016年リリースのVer.2ではWeb APIやCLI(コマンドラインインタフェース)、Webブラウザを使ったファイル転送機能も追加されていた。

 今回のVer.3では、新たな転送方式として専用クライアントソフト「D-Client」を追加した。D-Clientは、WebConnectを通じてHULFTと接続できる専用クライアント。ユーザー設定が不要のため、IT管理者不在の相手とのファイル連携に適するとしている。また、HULFT-WebConnectの契約元企業側でライセンス契約を行う仕組みで、取引先などに金銭負担なしでD-Clientを導入してもらえる。

今回の「D-Client」を加えた4つの接続/利用形態

 同社 テクノベーションセンター Product Managerの樋口義久氏は、D-Clientを追加した理由について「大企業と中小企業間のデータ連携に課題があったため」と説明する。大企業側では取引先の中小企業とセキュアなファイル連携をしたいが、中小企業側ではIT担当者がおらず難しい設定ができない、高額なIT投資もできないというケースがあった。こうしたケースでD-Clientが役立つ。

 具体的なユースケースとして、樋口氏は「印刷やデータ入力などの業務」「人事など個人情報を扱う業務」「集金や振り込みなど金銭を扱う業務」「顧客/取引先との受発注業務」「設計/製図や部品表などを扱う業務」を挙げた。2024年1月のISDNサービス提供終了を控え、これまでISDNを使って運用してきたファイル連携の移行先としても適しているとアピールする。

HULFT-WebConnectのユースケース例。ファイル連携手段をHULFTに統一することでシンプルな運用が可能になる

 なお、D-ClientはHULFTの基本機能を搭載しているが、契約元のHULFTとのみ接続できる、D-Client利用者どうしのファイル転送は行えないなど、一部機能で制限がある。

 HULFT-WebConnectの利用価格は月額3万円から(税抜、転送データ量100GBまで)。またHULFTのライセンスは13万8000円から、D-Client契約は月額4000円から、ブラウザ転送契約は月額2000円からとなっている。Ver.3は8月17日より提供開始。

利用契約と価格の例。この例ではA社がWebConnectやD-Client、ブラウザ転送の契約を行っているため、B社やC社でのライセンス契約は必要ない

 なお、発表会で同社 取締役執行役員 HULFTビジネスユニット長の山本善久氏は、HULFT事業の概況について説明した。2020年3月期のHULFT事業年間売上は、対前年比12%増の85億7900万と過去最高となり、採用実績も1万社を突破した。HULFTは、国内MFT(マネージドファイルトランスファー)市場で圧倒的な首位を獲得しており、グローバル市場でも売上シェアで3位(ガートナー調べ)という位置づけ。

 「(グローバル市場での)シェアは5.5%とまだまだ小さなものではあるが、われわれはミドルウェア業界のなかで世界市場を担っていける希有な企業だと考えているので、この分野でもNo.1になるべく努力を重ねていきたい」(山本氏)

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