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MacBook Air&iPad Proに新型登場! キーボードを始め、その真価は? 第18回

新MacBook Pro 13インチは買い!? 新AirやPro 16インチとベンチマーク比較

2020年07月11日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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純粋なCPU/GPU性能を測るGeekbench
マルチコアのスコアでAirを上回るPro 13インチ

 まずは、Geekbench 5.0の結果を検討してみよう。このテストには、「CPU」と呼ばれるものと「Compute」と呼ばれるものの2種類が含まれている。ひとつは文字通りのCPU性能で、もうひとつはGPUを本来のグラフィック描画ではなく、計算に使うもの。さらに前者のテストには、CPUのコアをひとつだけ使う「シングルコア」と、CPUの持つ複数のコアをすべて使う「マルチコア」がある。

 また後者のテストには業界標準のOpenCLと、アップル独自のMetalを、それぞれ演算用のAPIとして利用するものの2種類がある。Pro 16インチの場合だけ、CPUとは独立したGPU、AMD Radeon Pro 5500Mを装備しているため、Computeの結果がさらに2通りに枝分かれして、OpenCL/Metal の2通り× 内蔵GPU/独立GPUの2通りで合計4通りになっている。

MacBook Pro 13 2020 2ポート(10.15.5) MacBook Pro 13 2020 4ポート(10.15.5) MacBook Air 2020 デュアルコア(10.15.4) MacBook Air 2020 クアッドコア(10.15.4) MacBook Pro 16 2019 8コア(10.15.1)
GeekBench CPU/Single Core 1018 1253 1096 1147 1126
GeekBench CPU/Multi Core 4002 4462 2255 2769 6622
GeekBench Compute/OpenCL 7488 8325 5728 8106 3081
同上外部GPU 29104
GeekBench Compute/Metal 6895 10066 6280 9398 3647
同上外部GPU 28638

 まずCPU性能全体を見渡して気付くのは、シングルコアの数値が、Pro 16も含めて、それほど大きくは変わらないこと。これは、第8〜第10世代と幅はあるものの、CPUとしての基本部分のアーキテクチャの共通性からくるものだろう。ただし、細かく見ていくと、Pro 13インチでは2ポートよりも4ポートモデルが、Airではデュアルコアよりもクアッドコアモデルの方が、わずかながらシングルコアの性能も高い。これは、CPUの基本クロック周波数(Airは同一)やメモリの仕様、L3キャッシュの容量などが複合的に影響していると考えられる。いずれにしても、CPU性能としては、どうしてもマルチコア計測時の差に注目すべき、ということになる。

 理想的には、デュアルコアのCPUなら、シングルコア性能の2倍以上、クアッドコアなら4倍以上の性能を発揮することが期待される。「以上」にはならないのではないかと思われるかもしれないが、そもそもマルチコアは、シングルコアではCPUだけでなくメモリやバスなどを含むシステムとして、待ち時間などの無駄が生じることを防ぐための手段でもある。そのため、マルチコアのテスト結果としては、シングル性能×コア数以上の性能が出ることもある。そういう目で見ると、Pro 13インチはだいたいシングル性能×コア数に近い性能が出ていて、納得できる。

 Airは、Airのレビュー記事でも述べたことだが、どういうわけかクアッドコアモデルのマルチコア性能が伸びていないのが気になる。8コアのPro 16は、マルチではシングルの6倍弱という結果だが、コア数が多くなるほど、ひとつしかないメモリなどのリソースに対する競合も激しくなるため、それほど悪い数字ではないだろう。

 次にComputeでは、ほとんどのマシンで、業界標準のOpenCLよりも、アップル独自のMetalの方がよい結果を出しているが、Pro 13インチの2ポートモデルでは、逆にMetalよりもOpenCLの方が性能が高い。これは、第8世代のCoreに対してMetalが十分に最適化されていないのではないかという疑いを生じさせる。一方で、内蔵GPUの性能は、当然ながらCPUの世代が進むほど向上していることも読み取れる。第10世代のCPUを搭載するAirのクアッドコアモデルは、Pro 13インチの2ポートモデルをしのぎ、Pro 13インチの4ポートモデルに迫る勢いだ。

 すでに述べたように、ComputeではPro 16のみ、CPUに内蔵のIntel UHD Graphics 630と、独立したAMD Radeon Pro 5500Mの両方の性能を別々に評価している。これを見れば明らかなように、いくら内蔵GPUの性能が向上してきているとは言え、独立GPUの性能は桁違いだ。もちろん、これが画面サイズ以外でPro 13インチとPro 16を隔てる、最も重要なポイントとなっている。

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