このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

年次イベント「SAPPHIRE NOW Reimagined」開催、気候変動問題への取り組み「Climate 21」も

SAP、インダストリー4.0を加速させる「Industry Cloud」発表

2020年07月01日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 独SAPは2020年6月15日から19日にかけて、年次イベントのオンライン版「SAPPHIRE NOW Reimagined」を開催した。世界が新型コロナウイルス感染症の対応に追われる中で、業務アプリケーションリーダーのSAPが発したメッセージは「インテリジェントエンタープライズ」。それを実現するものとして、DXを加速させる業界別ソリューション「SAP Industry Cloud」、世界の気候変動への対応を成功企業の指標にするイニシアティブ「Climate 21 Program」などを発表した。

新たに発表された「SAP Industry Cloud」の位置付け

インダストリー4.0を加速させ、“インダストリー.now”へ

 基調講演を行ったエグゼクティブボードメンバーのトーマス・ザウアーエシッヒ氏(製品エンジニアリング担当)は、「不確実な状況下では、信頼性、対応力、俊敏性が必要だ」と述べる。俊敏性は生き残りに必要で、それが対応力につながることで、変化する環境に適応できる。顧客企業がこの3要素を得られるようにするのが、インテリジェントエンタープライズ戦略だ。

SAPで製品エンジニアリングを統括するトーマス・ザウアーエシッヒ(Thomas Saueressig)氏。以前はSAPでCIOを務めていた人物だ

 これまでSAPでは、旗艦製品であるERPに加えて人事(SuccessFactors、Fieldglass)、調達(Ariba)、経費計算(Concur)などのソリューションを取得し、プロセスの統合化を進めてきた。たとえば「SAP Analytics Cloud」は、S/4HANA Cloud、SuccessFactorsとネイティブに統合されており、製品の垣根を越えた分析が可能だ。そして2019年に買収完了したQualtricsのエクスペリエンスマネジメント(XM、体験管理)についても、体験に関するデータを“Xデータ”と称し、ERPなどに蓄積された“Oデータ”(オペレーショナルデータ)との連携統合を進めている。

 「SAPポートフォリオ全体で、エンドツーエンドの統合されたビジネスプロセスイノベーションを進める」(ザウアーエシッヒ氏)

 インテリジェントエンタープライズ戦略の中核をなすS/4 HANAの顧客数は、グローバルですでに1万4000社を数え、外部連携のために300以上のAPIを提供しているという。アーキテクチャのモジュール化も進めており、PaaSの「SAP Cloud Platform」を活用することで拡張を容易に開発できる。

 今回発表したSAP Industry Cloudは、SAP HANA、SAP Cloud Platform、SAP Data Warehouse Cloudなどで構成される「SAP Business Technology Platform」を土台とする、業界特化型の“イノベーションのためのソリューション”となる。

 「インダストリー4.0」が提唱されるようになってすでに久しいが、「SAPではインダストリー4.0の標準策定など、早期段階から積極的に関わっており、それがデジタル化と協業の基盤になっている」とザウアーエシッヒ氏は説明する。Industry Cloudでは、顧客企業がすぐに利用できる統合済みソリューションを提供することで、これをさらに進める狙いだ。

 Industry Cloudでは25の業界を網羅し、各業界のパートナーや顧客企業との協業を通じて展開を進めていく。今回のSAPPHIRE NOWに合わせ、SAPでは総合電機メーカーのHoneywellと提携し、ビル管理や不動産業界向けソリューション「SAP Cloud for Real Estate」を開発したことを発表した。

 SAP Cloud for Real Estateは、Honeywellの不動産事業パフォーマンス管理システム「Honeywell Forge」を組み合わせ、ビルの運用コスト、キャパシティ、フロアプランニング、契約コスト、リース契約、規制遵守などを効率良く管理し、データから洞察を得て最適化できるという。

 ザウアーエシッヒ氏は「“Industry 4.0”を“Industry 4.Now(インダストリー・フォー・ドット・ナウ)”に進化させる」と述べ、今後100以上のイノベーションに戦略的投資を行うことを約束した。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    PC価格高騰で4割の企業が「調達を延期」/“謎のExcelマクロ”は業務継続リスク/日本のデジタル行政、利用率・満足度とも最低レベル、ほか

  2. 2位

    ビジネス・開発

    「ドラクエXの世界観を壊さない」Gemini実装 プロンプトからセキュリティ、サーバー設計まで工夫の数々

  3. 3位

    ビジネス・開発

    首都高が「AIの高利用者」を1年で10倍に 非IT人材に刺さったGemini Notebookと“泥臭い”浸透策

  4. 4位

    TECH

    【提言】フロンティアAIが生む“脆弱性パッチの波” 企業はパッチ適用プロセスの見直しを

  5. 5位

    TECH

    「SCS評価制度」取得を目指す中堅・中小製造業のリアル 富士工業が考える「セキュリティは経営に役立つのか」の答え

  6. 6位

    TECH

    生命がわずかな熱を細胞内で維持する新しい原理を発見

  7. 7位

    デジタル

    約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため

  8. 8位

    デジタル

    属人化の解消は多忙な“Aさん”を救うことから 切り札は「kintone×AI」を自然に使わせる仕組み

  9. 9位

    デジタル

    平均年齢60歳の現場を変えたZ世代女子 kintoneで電話・紙・入力をなくしたら、仕事が楽しくなった

  10. 10位

    デジタル

    大企業導入も順調なkintone AI時代の“市民開発×ガバナンス”基盤を目指す

集計期間:
2026年08月19日~2026年08月25日
  • 角川アスキー総合研究所