経費精算の電子化にとりくむが、これまでの限界も
振り返ってみると、1998年に施行された電子帳簿保存法は、20年以上をかけて、着実に進化してきた。
最初は、PCなどでも利用できる会計システムや販売システムなどを使って、「国税関係帳簿書類」を電子データで保存できるようにしたところからスタート。2005年には、e-文書法の施行に伴って、紙の「国税関係書類(決算関係書類を除く)」を、スキャナーで取り込んで、電子ファイルとして保存することが認められるようになった。
さらに、2016年には、スキャナーで電子化できる対象書類の金額基準であった「3万円未満」を撤廃。2017年には、「仕様を満たした原稿台付スキャナーの利用が必須」としていた電子化のための機器の条件を撤廃し、スマートフォンやデジカメによる電子ファイル化が認められるようになった。
現在では、経費精算において、領収書をもらった本人が、領収書受領日翌日から3日以内に、スキャンあるいは撮影して、その電子ファイルにタイムスタンプ付与させることで、デジタルデータが紙の領収書の代わりとして認められるようになっている。
外出先でも、スマホを使って領収書を電子化することができるとともに、3日以内での作業が求められるため、これを習慣づけることができ、多くの社員にありがちな「月末にまとめて作業をする」といったことがなくなるメリットも生まれていた。
とはいえ、基本的には紙の領収書をもらうこと、そして、その写真を撮影する作業はちょっとした手間だ。また、3日間という期間内に作業をやり忘れてしまった場合には、デジタル化できないという課題もある。さらに、日付や金額、支払先については手入力という手間もあった。そのため、経理部門では、最終的には、電子化された領収書の日付と金額、それとは別に手入力した日付、金額に間違いがないかをチェックする作業も発生していた。場合によっては、撮影された写真の文字がぼけていて判読不能なため、社員に戻すということも起こっていた。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ