ここからは、オススメのB550マザー「B550 PG Velocita」「B550 Steel Legend」「B550 Pro4」がどのような特徴を有しているのか、詳しく見ていこう。
常時144fps以上を目指すコアなゲーマーに最適
「B550 PG Velocita」
まずはB550 PG Velocitaからだが、ASRockのラインナップの中では、B550 Taichiに次ぐ上位に置かれるモデルで、同社がゲーミング向けに展開するPhantom Gamingシリーズに属する製品だ。
ゲーマーに高速かつ無敵のゲーム体験を提供することを目的としたマザーボードで、2.5Gbpsの高速有線LANや発光機能など、ゲーマー向けの機能を数多く搭載している。
また、CPUに安定した電力を供給できるよう電源部が強化されており、オーバークロックを楽しみたい人や性能を求めるユーザーにも適している。
フォームファクターはATXで、CPUには第3世代Ryzenをサポートするため、CPUソケットとしてSocket AM4を搭載する。ただし、同じSocket AM4の第1世代ならびに第2世代Ryzenには対応していない。これは、チップセットのAMD B550が第3世代Ryzenしかサポートしていないためだが、CPUの流用を考えているユーザーは注意してほしい。
ただ、CPUクーラーの固定穴の配置は変わっていないため、使用するCPUのTDPに見合った冷却性能を持っていれば、クーラーは以前のものがそのまま利用できそうだ。
このB550 PG Velocitaは、上位モデルらしく、16コア32スレッドタイプのRyzen 9 3950Xにも対応できるよう電源部にはかなり強化が施されており、電源回路はDigi Powerと呼ばれるデジタルVRMを採用し、14フェーズ構成を誇る。
また、電源部にはドライバーICとMOSFETを1パッケージに収め、50Aに対応するDr.MOSを採用することで、実装面積の縮小を実現。さらに、60Aに対応するチョークコイルを実装し、ASRockによると従来のものに比べて3倍の飽和電流に対応するという。
そのほか、製品寿命1万2000時間と長いニチコン製12Kブラックコンデンサーを搭載するなど、かなり高品質な部材が用いられている。なお、電源部の冷却には2つのヒートシンクが装着され、それらをヒートパイプで結び、しっかりと冷えるよう工夫が施されている。
CPU補助電源コネクターは8ピン+4ピン構成で、メインの24ピンコネクターともどもピンは金メッキ加工がなされている。さらに、基板は内部の銅層を2オンスに増量することで、オーバークロック時の発熱を抑え、電力効率の向上を図っているという。
メモリーはDDR4 DIMMスロットを4本搭載し、最大128GBまで搭載可能。また、動作クロックはDDR4-4733まで対応するほか、XMPもサポートする。なお、このメモリースロットのコンタクトにも15uの金メッキ加工が施されている。
拡張スロットは、PCIe x16スロットが2本に、PCIe Gen.3 x1スロットが2本という構成。2本のPCIe x16スロットは、CPUに近いほうがCPUと接続されたPCIe Gen.4 x16として、もう片方はPCIe Gen.3 x4として、それぞれ動作する。
これらのスロットは、PCIe Gen.4向けに強化したというSteel Slotを採用。このSteel Slotでは、スロットならびにラッチにも金属を使用することで、スロットの強度を増し、重量級のカードであってもしっかりと固定できるようにしている。
なお、両方のスロットにビデオカードを装着する場合、マルチGPU環境であるAMD Quad CrossFireXおよびAMD CrossFireXには対応するが、NVIDIAのNVLink SLIはサポートされていない点は注意が必要だ。
M.2スロットは、CPUとPCIe Gen.4 x16スロットの間と、2本目のPCIe x16スロットの基板端側の2ヵ所に用意されている。このうち前者はHyper M.2スロットと称され、PCIe Gen.4 x4接続となる。一方の後者は従来のPCIe Gen.3 x2接続だ。そのほか、Serial ATA 6.0Gbpsポートは6つ用意されている。
さらに、2本のPCIe x16スロットの間には、無線LANモジュール用のM.2スロットが用意されているほか、Realtek製LANコントローラーのRTL8125BGを搭載することで、従来の1000BASE-T LANの2.5倍の帯域幅を誇る2.5Gb/s LANをサポートする。
LANは、ゲームで使用している通信帯域を自動的に検出して、他のアプリよりも優先的に帯域を割り振ることで、遅延が起こりにくいネットワークゲーム環境を構築できる。これがゲーマーにオススメする大きな理由の1つになっている。
背面インターフェースは、USB 3.2 Gen.2(Type-A)、USB 3.2 Gen.2(Type-C)、USB 3.2 Gen.1×2、USB 2.0×4、光デジタル出力ならびにオーディオ端子、それにPS/2、HDMIという構成だ。なお、オーディオ端子にも金メッキ加工が施されているあたりは、ASRockのこだわりを感じる。
そのほか、フロントパネル用として、USB 2.0×4、USB 3.2 Gen.1×2ピンヘッダー、USB 3.2 Gen.2のType-Cヘッダーがそれぞれ用意されている。
サウンド機能には、オーディオコーデックにRealtek製ALC1220を搭載し、7.1chサラウンド出力をサポート。さらにSN比120dBのダイナミックレンジを持つアンプを搭載するほか、フロントパネル用に600Ωの負荷まで対応できるNE5532オペアンプを搭載するなど、サウンド周りはかなり注力した仕様を誇る。なお、サウンドユーティリティーとして、Nahimic Audioが付属する。
さて、B550 PG Velocitaでは、I/Oシールドや、チップセット上のヒートシンクにLEDが埋め込まれ、流行りのゲーミングモデルらしく煌びやかに発光させることが可能。これらのLEDは、Polychrome RGBから光り方や色の変更ができる。
さらに、メモリースロットの側の基板端に、アドレサブルRGBおよび通常のRGBのヘッダーピンが用意され、Polychrome Syncに対応したデバイスを接続すれば、Polychrome RGBから一括制御が可能だ。
以上のように、B550 PG Velocitaは、AMD X570の下位に置かれるAMD B550を採用しながらも、かなり高品質&高機能な製品に仕上がっている。市場想定価格は2万7200円とアッパーミドル向けの位置付けとなっており、ハイエンドなグラフィックスカードと組み合わせて、FPSにおいて常時144fps以上を目指すようなコアなゲーマーに適したモデルと言えそうだ。