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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第567回

発表されたLakefieldはカスタマイズ版Windows10向け インテル CPUロードマップ

2020年06月15日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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メモリーは4GBと8GBの2種類が存在
GPUコアは最大500MHz駆動でしかない

 イッペイ氏の記事でも簡単な表が示されているが、すでにark.intel.comに2製品とも登録されているので、これを元に若干追加したのが下表である。

Lakefieldのスペック表
Processor
Number
i5-L16G7 i3-L13G4
コア/スレッド数 5/5
キャッシュ容量 4MB
定格クロック 1.4GHz 0.8GHz
1コア最大クロック 3.0GHz 2.8GHz
全コア最大クロック 1.8GHz 1.3GHz
メモリー種別 LPDDR4X-4267
メモリー容量 4/8GB
メモリーバス幅 64bit
GPU EU数 64 48
GPU定格クロック 0.2GHz
GPU最大クロック 0.5GHz
TDP 7W
推奨小売価格 281ドル

 まずメモリーについて。どちらの製品もLPDDR4x-4267チップを4つ搭載しており、合計容量は4GBないし8GBとなる。実はこれ、わかりにくいのだが、ark.intel.comでCore i5-L16G7とCore i3-L13G4のOrdering and spec informationを開くと、4GBと8GBの2種類のSKUがあることが明示されて初めてわかった。

 それはともかくとして、ark.intel.comの方では最大メモリー帯域が34GB/秒とされており、ここから合計で64bit幅構成とわかる。前述したLakefieldのダイ写真で、ダイの四隅にLPDDR4x 16bitとしてある部分がメモリーコントローラーであり、それぞれ1チップのLPDDR4xチップとつながる構成になると思われる。

 次にGPUコアの動作周波数について。定格は200MHz駆動、Max Turboでも500MHz駆動でしかない。インテルによれば、これでも3DMark 11の結果をCore i7-8500Yと比較してほぼ2倍のスコアだとしているので、検証してみたい。

 Core i7-8500YはIntel UHD Graphics 615(24EU)構成で、定格300MHz/Turbo 1.05GHz駆動である。ラフに言ってGPU性能はEU数×動作周波数に比例するので、Core i7-8500Y:Core i5-L16G7は定格同士なら1:1.778、Turboの場合で1:1.270といったところで微妙に2倍には届かない。

 メモリー帯域についても、Core i7-8500YはLPDDR3-1866ないしDDR3L-1600のサポートだが、メモリーバスは128bit幅なので最大メモリー帯域は33.3GB/秒、対してCore i5-L16G7は上にも書いたように64bitバスなので、帯域は34GB/秒どまりであり、大して大きな差ではない。

 もっとも3DMark11のスコアは単にGraphicsだけでなくPhysics(つまりCPU)性能も加味されるから、このあたりでぎりぎり2倍というあたりだろうか。

 ただせっかくの64EUがあまり活用されていない(これなら半分の32EUにして、その分動作周波数を上げた方が効果的に思える)気もするのだが、このあたりの損得勘定はかなり微妙なものになりそうだ。

 この話はTDPにも絡んでくる。今回発表の2製品は、TDP 7Wとされている。実はこれも怪しい、というより「現在出荷中の2製品のTDPは7W」というだけで、他のSKUもありそうだからだ。

 昨年のInvestor MeetingにおけるMurthy Renduchintala博士のスライドの脚注に、“LKF 5W & 7W Configuration”と表記されており、また“PL1=5W & 7W”という表記もあることから、少なくともTDP 5WのSKUも存在しそうである。

 加えて言えば、もっと消費電力の高いSKUの可能性もある。実際、もう少し消費電力を引き上げることを想定している節も見受けられる。上でも少し触れたが、500MHz×64EUと1GHz×32EUは、今のインテルの10nmプロセスであればおそらくほとんど消費電力は変わらない。

 変わるのはもう少し動作周波数を上げた場合で、例えば700MHz×64EUと1.4GHz×32EUでは、明らかに1.4GHzの方が消費電力が大きくなると予想されるためだ。

 つまり、もう少しTDP枠を引き上げることを前提に、64EUにして動作周波数を抑えめにして性能を引き上げる構成を考えていると思われる。

 話を戻すと、PL1 Tau(Power Limit 1 Time)は現在公開されていない。このあたりの詳細はデータシートが公開されるのを待つしかなさそうだ。

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