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深層学習による需要予測モデル、リソース制約を考慮した負荷自動調整機能など追加

キヤノンITS、需要予測・需給計画システム「FOREMAST」最新版

2020年05月19日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2020年5月19日、製造業や流通業などをターゲットとする需要予測・需給計画ソリューション「FOREMAST(フォーマスト)」最新版(Ver.3.2)を発表した。新たに生産・物流負荷の自動調整機能を追加したほか、従来の統計予測モデルに加えて深層学習(ディープラーニング)を用いた需要予測モデルも追加搭載している。

キヤノンITS「FOREMAST Ver.3.2」のSIコア(基本モジュール群)と、連携する業務システムの例

 FOREMASTは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の需要予測・需給計画の業務システム構築をメインターゲットに、2006年から提供されているソリューション。

 具体的には、需要予測/在庫補充計画/需要計画調整/データ連携の基本モジュールと、グループ予測/多段階補充/出荷期限/カテゴリ編集といったオプションモジュールで構成されるベース製品(同社では「SIコア」と呼ぶ)を基に、顧客ニーズや既存システム環境に合わせてセミオーダーメイド型で構築、提供される。ニチレイフーズやサントリー、味の素といった食品製造業をはじめ、化学/電機/日用品/金属/住設/機械といった各種製造業、流通卸業、小売業、金融業などで導入されている。

 最新版のVer.3.2ではまず、「負荷自動調整機能」がオプションモジュールとして追加された。これは、工場やラインごとの生産能力、物流ルートごとの輸送能力などのリソース制約を考慮したうえで、生産や輸送を前倒し/後倒しすることで計画量を自動調整する機能だ。現在、製造や物流の現場では人手不足が深刻化し、従来のような負荷変動の激しいジャストインタイム物流(多頻度小口配送)ではなく、なるべく一定負荷での在庫適正化が求められるようになっており、そうした動きに対応するもの。

負荷自動調整機能のイメージ。負荷能力を超えると予測される生産や輸送については、前倒し/後倒しにより負荷の平準化を図る

 2つめの主要新機能として、需給計画調整SIコア(基本モジュール)において、PSI画面(入荷/出荷/在庫、生産/販売/在庫などの一覧画面)の表示パターンを拡充した。これにより、商品などのグループ合計とリソース制約を照合確認しながら商品ごとの計画量を手作業で調整しやすくなった。

 最後に、深層学習による需要予測機能をオプションモジュールとして追加している。これは同社のR&D部門が独自に開発した、需要予測(時系列予測)に特化したモデルを用いるもの。顧客側で学習させる必要のない学習済み汎用予測モデルを用意しているほか、顧客データを使って追加学習をさせたり、まったく新規に専用モデルを開発したりすることも可能だ。

 なお、従来からの統計予測モデル(数理予測モデル)も併せて提供される。FOREMASTでは、さまざまな予測モデルから最適なものを自動選択する機能を備えているので、深層学習や統計予測の知見がなくとも、実際の予測対象に応じて最適なモデルを簡単に選択することが可能だ。

深層学習を活用した予測モデルだけでなく、統計予測モデルも併せて提供し、自動選択機能によって最適な予測モデルを適用する

 FOREMAST Ver.3.2の価格(税抜)は2000万円からとなっている。販売は2020年6月1日から。キヤノンITSでは、FOREMASTの新規販売目標を年間で30社としている。

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