Azureが提供するクラウドサービスの全体像や利便性を理解し、サイトを立ち上げる準備をする

Azureの代表的なサービスを知る／使ってみる【前編】

2020年05月21日 08時00分更新

文● 藤谷尋／FIXER　編集● 大塚／TECH.ASCII.jp

Azureで簡単にWordPressサイトをホストするための予備知識

　次回の後編記事では、実際にAzure App Serviceを使ってWordPress（Webサイト）を立ち上げ、ホストします。そのハンズオンを行うにあたっての前提知識として、Azure App Serviceとは何なのか、どのようにWordPressサイトを構築するのかについて学んでおきましょう。

■Azure App Serviceとは

　Azure App Serviceは、さまざまな種類のWebアプリケーションを、ユーザー自身でインフラ構築、管理することなく簡単にホストできるサービス群の総称です。具体的には「Web Apps」「Mobile Apps」「Functions」「API Apps」といったサービスが含まれます。

　ユーザー側の作業は非常に簡素化されており、Azure Marketplace（詳しくは後述）でホストしたいアプリ（Webサイト、モバイルアプリバックエンド、RESTful API、ビジネスプロセスなど）を選択するだけです。

　たとえばWordPressサイトを立ち上げたい場合、App Serviceを使わない通常の流れだと、大まかに以下のような手順を踏む必要があります。

　　（1）仮想マシンのデプロイ
　　（2）仮想マシンにWebサーバ（Apache）、DBサーバ（MySQL）、PHPなど、WordPressを動かすための各種モジュールをインストール
　　（3）それぞれのモジュールを設定
　　（4）WordPressをインストール

　Azure App Serviceを使うと、WordPressサイトの構築に必要となるインフラ（仮想マシン）やOS、モジュールなどの構成や設定、イメージがあらかじめパッケージされているため、こうした複雑な手順を踏む必要がありません。Azureポータル上から数クリックするだけで、WordPressサイトを構築する事が可能です。

Azure App Serviceの料金

　以下の表のとおり、Azure App Serviceには複数のプランが用意されています。

Azure App Serviceの料金プラン（出典：マイクロソフト Webサイト）

　この表には書かれていませんが、一番左のFREE（無料）プランとその右のSHARED（共有）プランでは、1日あたりのアプリ稼働時間が制限されています。さらに右のプランでは、それぞれ仮想マシン（インスタンス）のスペックやサポート対象レベルなどが異なります。このように、プランによって制限事項や料金が大きく変わってくるので、利用する用途や要件に合わせて最適なプランを選択する必要があります。

　App Serviceの料金やプランごとの違いについて、詳細はこちらを参照してください。

Azure Marketplaceとは

　Azure Marketplaceは、MicrosoftがAzureユーザーのために用意しているオンラインマーケットプレースです。ここでは、ソフトウェアベンダー各社が提供する仮想マシンイメージ、仮想マシン拡張機能、アプリケーション、API、Machine Learning サービス、データサービスなどが数多く提供されています。

　これらはAzureですぐに使えるように、動作認定と最適化がなされています。それにより、ユーザーはAzureポータル上でわずか数回のクリックのみで簡単に利用することができます。次回のハンズオンで利用する「WordPress」も、このAzure Marketplaceで提供されています。

Azure Marketplaceでは、Azureですぐに使える仮想マシンやアプリケーションが用意されている（出典：Microsoft Azure Marketplace）

＊　＊　＊

　以上、今回の前編記事では、Azureが提供するサービスの全体像と、Azure App Service、Azure Marketplaceの概要を解説しました。Azureには多数の革新的なサービスが展開されていて、それぞれどのような特徴を持っているかを大まかに把握していただけたかと思います。続く後編記事では、実際に皆さんも手を動かして、App Serviceを使ったWordPressサイトの作成にトライしてみましょう。

■今回のポイントまとめ！