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中の人が語るさくらインターネット 第16回

田中社長とレンサバ担当に聞いた激動の15年と次の一手

さくらのレンタルサーバが15周年 次はコンテナベースの新サービス?

2020年02月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: さくらインターネット

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いまのさくらなら新しいレンタルサーバーを作れる

田中:既存のお客様の満足度を高めていくのに加え、最近始めたのが新サービスの開発です。創業から7年して現行の第二世代のレンサバが出たのですが、第三世代がまだ出せていません。つまり、新しいチームが新しい思想でサービスを作る時期にさしかかっています。

昔はWeb 2.0のお客様が多くて、その次にアプリやゲームの会社が使ってくれたので伸びました。今伸びているのはAI系とSaaSのお客様なんです。だから、新しいレンサバもアプリケーション基盤を前提に開発する必要があります。

新しいレンサバもアプリケーション基盤を前提に開発する必要がある(田中)

大谷:すでにプロジェクトはスタートしているのでしょうか?

田中:はい。さくらも以前に比べて企業体力がついているので、若手のメンバーがコンテナベースの新しいサービスを作っています。弊社も「Arukas(アルカス)」というサービスをやっていたのですが、コンテナ自体を手段として提供していたので、やはり厳しかった(現在はサービスを終了)。これからはコンテナを活用することで、速い、柔軟性が高い、スケールアウトできるサービスが必要です。今期・来期で注力していきたいと思います。後藤さん、新しいレンタルサーバーのプロジェクトはどうですか?

後藤:プロトタイプは作っているのですが、そもそもお客様にどういう価値を提供できるのかという点がチーム内でもあいまいです。自分たちが作りたいものではなく、お客様がなにをほしがっているのか、どういうお客様なのか、もう少し掘り下げて見極めたいと思います。

田中:とはいえ、単純にほしがるものを聞かれてもお客様はわからないことも多いはずです。だから、ほしがるものではなく、作りたいものだろうとは次世代レンサバのチームには言っていますね。

大谷:なるほど。意見が違うのも面白いですね。

田中:個人的には「これを作りたい」でいいと思うんです。こういう目的で作りたいというのがあれば、お客様にも伝わるはず。

大谷:せっかく石狩データセンター持っているんだから、垂直統合で若手が荒削りなサービス作ってもいいと思いますけどね。

田中:おっしゃるとおりです。もちろん、どんな価値を提供できるのかはチーム自体が考えるべきですが、私が評価したいのはオペレーションまで含めて考えているところですね。今までのように開発して、運用部隊に渡すという形態だと、運用にしわ寄せがいきがち。運用できるメンバーが多いのでやれてしまうのですが、この状態が決していいとは思わないです。

後藤:現世代のレンサバって、運用を人力でやっている部分が多いので、確かにそうですね。

田中:その点、次世代レンサバのチームはDevOpsやSREの視点に立って、運用まで含めてモダンな設計を考えています。さくら研究所にもSREを研究しているメンバーいますが、機能や速さだけではなく、いかに安定して使えるかを考えて作っています。今までちょっと受け入れがたかったヘビーユーザーにもどんどん使ってもらって、スケールアウトしても安定して運用できる環境を構築したいです。

組織のサイロ化から脱却し、全社で対応できる体制へ

大谷:さくらのイベントを取材して、最近若干気になっているのは、10年来、15年来のファンはいるのですが、3年来、5年来のファンがあまりいないことです。もちろん、IoTとか、高火力コンピューティングなどもありますが、プラットフォームという分野でも新しいサービスが必要な時期になっているのかもしれません。

田中:そうですね。入ったとき30代だった後藤も、私も40代になりましたし、お客様とともにわれわれが高齢化しているのは事実です(笑)。ですから、今まで私たちを支えてきてくれたベテランのお客様にはいままで以上に満足して、長く使ってもらう一方、感性の若い人たちにもさくらのサービスを使ってもらう必要があります。

さくらインターネットはいま700人くらい社員がいますけど、これだけエンジニアが揃っていて、フロント開発からデータセンターの運用まで内部でできる会社はほとんどいないと自負しています。

大谷:私も取材していて本当にそれは感じます。

田中:ただ、それぞれのスキルセットがいまはバラバラなので、たとえばなにか障害が起こっても、全社であたれているかというと、まだそこまで行ってません。「ソフトウェア開発は組織に依存する」というコンウェイの法則通りで、組織って手段でしかないんですが、組織によってサービスが引きずられてしまうという事態は実際に起こります。

でも、昨年からこうした組織のサイロ化を解消してきて、全社できちんと対応できる体制が生まれてきています。多様性を重視しつつ、組織や価値観はきちんと1つの方向に向かうようにしていきたいと思っています。

大谷:よいサービスを作れる組織と人材ですね。

田中:人材育成にも注力しています。今まで新規採用をがんばっていましたが、定着や教育についても力を入れていて、離職率はついに1%台になりました。とはいえ、滞留してしまうのもよくないので、定期的に部署を異動させたり、地域に依存せずにどこからでも仕事できるようにしています。インフラの知識やプログラムのスキル、プロジェクトも上がって、転職するときにはきちんとお給料も上がるようになるといいなと。もちろん、弊社にそのまま居着いてくれるのが一番いよいのですが(笑)。

幸い当社には若い世代がどんどん入社していますし、インターンも積極的に受け入れてます。最近では小学生向けにプラグラミング教育も展開していますので、どんどん若い人に向けてのアピールも続けていきたいですね。

(提供:さくらインターネット)

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