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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第1回

1万円台の高音質TWS機に見どころ多し、2019年末のポータブル事情

2019年12月31日 09時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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final直営店は、ヘッドホンを堪能できる防音室まで完備

 12月12日にS'NEXTが展開するfinalブランドの直営店「final STORE」が秋葉原にオープンした。場所はJR秋葉原駅の電気街改札を出て数分の好立地。高架下に作られた「SEEKBASE」という施設の一角だ。

オープンを告知するエントリー(finalのサイトから)

 店内では「A8000」「D8000」など実売20万円、30万円クラスのハイエンド機から、Eシリーズのような人気モデルまでさまざまな機種を展示、試聴もできる。加えてMeze AudioやDITA Audioなど、S’NEXT取り扱いの海外製品もある。

11月に発表されたばかりの新フラグシップイヤホン「A8000」

 店内奥に防音室を備え、静かな環境で開放型モデルを試すことができるのも面白い。店内は正社員スタッフが常駐して、英語や中国語でも対応可能ということだ。いずれは直営店ならではの一点のみのモデルも手掛けたいという。

ハイレゾストリーミングは「追加料金なし」がデファクトに?

 2019年末にかけて、主に海外を中心としたストリーミングオーディオ界隈で新たな動きがあった。まず大手サービスの「Qobuz」がMP3での配信をやめてハイレゾとCD品質を統合した価格の安い新たなプランを発表するという戦略的な動きに出た。

Qobuzのウェブサイトより

 ハイレゾ配信やCDロスレス配信の先駆けとなる「TIDAL」は、少ない帯域でハイレゾ品質のデータを配信できるMQA技術を用いている。MQAは「CD品質のロスレス音源」も「ハイレゾ品質の音源」も、同じビットレート(≒1.4Mbps)で伝送できるのが特徴だ。このため、ハイレゾ配信もロスレス配信も同料金で利用できた。一方、Qobuzは、ハイレゾ音源の配信にFLACを利用しているため(FLACは4.8Mbps程度になるのでMQAよりもデータ量が大きくなる)、従来はハイレゾ音源が聞けるプランは、CD品質のプランよりも高い金額設定になっていた。

 今回、Qobuzが「損を承知」でハイレゾプランをCDプランと同じ料金にしたことは、TIDALの技術的・料金的な優位性を脅かすことになりうる。日本でも「mora qualitas」や「Amazon Music HD」などのハイレゾ対応ストリーミングサービスが利用できる環境が出てきたが、こうした海外の動きが、まだ黎明期にある日本でのストリーミングサービスの方向性にも少なからぬ影響を与えるかもしれない。

 一方のTIDALでも、Dolby Atmos配信をサポートするという新たな動きを見せている。Dolby Atmosは「3Dオーディオ」として、「Amazon Music HD」でも配信が開始されており、すでに国内でも利用可能だ。ストリーミングする音源(フォーマット)の多様化が進んでおり、どのサービスがどの形式をサポートするかは、来年にかけて注目すべき動向となるだろう。

 また、MQAは、国内のInterBeeでMQA技術と放送の融合が可能なことをデモした。これは同時に、音声トラックでのMPEG4-ALS(MPEG-4のロスレス音声圧縮方式)の活用例として、4Kや8K映像と組み合わせた映像ストリーミングで面白い展開を見せてくれるかもしれない。

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