HP独自のZX1チップセットを採用した
HP zx2000/zx6000シリーズ
HP i2000の後継として、今度は900MHz動作のMckinleyを搭載した製品が2002年に投入されたHP zx2000/zx6000シリーズで、のちにMadison/Deerfieldを搭載したモデルも追加されている。
画像の出典は、HP zx2000/zx6000のカタログ
こちらの特徴は、HP独自のZX1チップセットを採用したことだ。まだ拡張バスはAGPおよびPCI/PCI-X対応であるが、メモリーはDDR SDRAMに対応。発表当時はまだ1GBまでの容量のDIMMしか存在していなかったので最大メモリー容量は4GBとやや減ったが、2GB DIMMが出てきたらこれを利用して最大8GBになるとされた。
ところでこのZX1チップセット、実はPA-RISCとItaniumの両対応になっており、実際2004年登場したHP 9000 rp3410(PA-8800×1)/rp3440(PA-8800 or PA-8900×1~2)はこのZX1チップセットを利用して構築されている。
なので技術的にはItaniumを搭載したHP 9000シリーズがこの時点で登場しても良いはずなのだが、HP 9000を名乗るItaniumマシンが登場するのはもっと後になる。
実を言えば、HP 9000 N-Classが最初のHP 9000系のItanium搭載製品となる予定だった。このN-Classに属するHP 9000 N4000そのものは1999年に投入されたが、当初は64bit版のPA-RISC 8500/8600/8700を1~8 CPU搭載するという構成であり、これに続いて最大2 CPUのItaniumを搭載するバージョンが追加されるはずだった。
そもそもN4000に採用されていたStretchというチップセットそのものはItanium Busに対応していた。このStretchはちょっと複雑な構成で、概略は下図のようになる。
Preludeというのが中核となるメモリーコントローラー兼システムバスコントローラーで、4本のDDR-266メモリーコントローラーと2本のItanium Bus(各々133MHz/64bitで2.1GB/秒)を出す。
CPU自身はRunway BusというPA-RISCの独自Busを利用していたので、間にDEWと呼ばれるCPU Bridgeを挟み、これでRunway BusとItanium Busの相互変換を行なっていた。
ただプロトコル的にはこれでいいとしても、各々のDEWとCPUの間の帯域もやはり2.1GB/秒なので、明らかに帯域が足りてない気はするが、それはおいておく。
一方I/Oは、やはりItanium BusにIKEというI/Oコントローラーがぶら下がるが、このIKEからは266MB/sの帯域を持つI/Oリンクが12本出て、その先にElroy PCI Bridgeというブリッジチップを噛ますことでPCIなりPCI-Xが出るという構成になっている。
こういう構成であるから、Itaniumを使う場合はDEWを全部取り払い、直接Itaniumに接続するだけでいいはずである。最大2Pということなので、1つのPreludeから出る2本のItanium Busに、それぞれ1つのItaniumとIKEがぶら下がる構造を想定したと思われる。
「思われる」というのは、このItanium版のHP 9000 N4000は結局出荷されなかったためだ。理由は定かではない(なにしろ公式には一切発表がない)が、HP 9000対応ソフトウェアのItaniumへの移行準備が整わなかったとかそんな理由な気がする。そんなわけでItanium対応を名乗るHP 9000シリーズは、いきなりハイエンドのSuperdomeとなった。
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