“as-a-Serviceカンパニー”への転身を狙うHPE
「HPE GreenLake Central」発表、オンプレミスでクラウド体験を
2019年12月09日 07時00分更新
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)は2019年12月3日、「HPE GreenLake Central」を発表した。ITリソースをサービスとして(as-a-Service)提供する「HPE GreenLake」ブランドの最新製品であり、サードパーティのパブリッククラウドを含むITリソース群を一元管理するポータルの役割を担うコンソールだ。
同日、ドイツ・ミュンヘンで開催された発表会に出席したHPE GreenLakeマーケティング担当VPのフリン・マロイ氏は「“as-a-Serviceカンパニー”への変化に向けた、次のマイルストーンになる」と、GreenLake Central発表の重要性を強調した。
HPEの戦略はサービスカンパニーへの転身だ。今年6月に開催したプライベートイベント「HPE Discover Las Vegas」の場で、HPE CEOのアントニオ・ネリ氏は「2022年までにすべての製品ポートフォリオを“as-a-Service”として提供する」と約束した。ここにおいて、GreenLakeは重要な役割を果たす。
背景にあるのは、ユーザー企業における「ハイブリッド化」のトレンドだ。マロイ氏は、企業は多くのワークロードをパブリッククラウドに移行しているが、オンプレミスにもデータとアプリはあり「さらにはクラウド化は減速している」と続ける。その理由は、オンプレミスにある従来型のアプリケーションはクラウドネイティブな設計ではなく、大規模なデータセットも持っているからだ。これらをクラウド移行することは簡単ではない。「さらには各種の規制によって、そもそもパブリッククラウドに移行できないものもある」(マロイ氏)。
しかし、既存のオンプレミス環境がそのままでよいというわけではない。オンプレミス環境には、モダンなクラウド体験が享受できないという問題がある。「拡張性、スピード、セルフサービス型の利用といったクラウド体験が、オンプレミス環境では得られない」(マロイ氏)。CEOのネリ氏も、ハイブリッド戦略を語る際に「クラウドとは目的地(場所)ではなく体験のこと」だと主張しているが、まさにその問題に対するHPEの答えがGreenLake Centralとなる。
GreenLake Centralは、as-a-Service型で提供されるITリソースのポータルだ。ウィジェットベースで構成されており、オンプレミスやパブリッククラウドを含むハイブリッド環境全体をシンプルに管理できる。現在のところ、パブリッククラウドとしてははAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureが管理できる(Google Cloudは今後対応予定)。
ハイブリッドなITリソースの全体像を可視化するダッシュボードの機能に加えて、ITリソースのプロビジョニングでは、GreenLakeインスタンスの作成や管理、VMwareベースのイメージのインポート、CPUやストレージ、メモリといったリソースの状況表示などが可能。コンプライアンス上のリスク管理もできる。ちなみにHPEでは、2017年にマルチクラウド管理サービス「HPE OneSphere」を発表しているが、GreenLake CentralはOneSphereのコンセプトを継承、統合した進化形のサービスとなる。
“ポイント&クリック”のシンプルなセルフサービス体験も重要な特徴だ。マロイ氏は「AWSやAzureのようなパブリッククラウドで慣れ親しんだセルフサービスインタフェースを利用できる」と説明する。
マロイ氏はもうひとつ、単一の画面で自社全体のITリソース使用状況が把握できる点も強調した。継続的なモニタリングによって「使用量、コスト、キャパシティ、コンプライアンスなどを1つの画面で把握できる」。ワークロード単位のほか、事業部、クラウドサービス、地域などさまざまな単位で使用量とコストが確認できるうえ、ユーザーの役割に応じて情報を表示するロールベースのアクセス管理機能も備える。
HPE GreenLake Centralは同日、GreenLake顧客向けにベータ提供を開始している。2020年後半以降、すべての顧客向けに提供を開始する予定だ。