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パブリッククラウドからオンプレミスのECSに乗り換えたNTTぷららもゲスト出席

オブジェクトストレージ「Dell EMC ECS」新モデル&OS新版発表

2019年11月05日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デルとEMCジャパン(デルテクノロジーズ)は2019年11月1日、エンタープライズ向けオブジェクトストレージ「Dell EMC ECS」のアプライアンス新モデル「ECS EX500」と、最新版ストレージOS「ECS 3.4」の国内提供開始を発表した。

オブジェクトストレージアプライアンス「Dell EMC ECS(Elastic Cloud Storage)」のポートフォリオと、新モデル「ECS EX500」の位置付け

 同日の記者発表会では、非構造化データストレージに関する市場背景のほか、新モデルの特徴や既存ラインアップとの位置付けの違いなどが説明された。またパブリッククラウドのストレージサービスからECSに乗り換えたNTTぷららもゲスト出席し、クラウドからオンプレミスへの移行理由や導入効果などを語った。

デル UDS事業本部 SE部 アドバイザリシステムエンジニアの杉本直之氏ゲスト出席したNTTぷらら 技術本部 ネットワーク管理部マネージャーの大橋峰延氏

「EX500はエンタープライズがこれから活用していきたい領域に当てはまる」

 ECSは、Dell EMCが展開するSDS(Software-Defined Storage)ポートフォリオの中でオブジェクトストレージを提供する製品。「Dell EMC PowerEdge」サーバーをベースに構成されたECSアプライアンスはこれまで、スケーラブルで最大8.6PBの容量を実現する大規模環境向けのEX3000、最小60TBからのスモールスタートが可能なEX300という2モデルをラインアップしていた。今回新たに投入されたEX500は、その両者の中間に位置づけられるモデルであり、「経済性」と「高密度性」を両立させたバランスが特徴だとしている。

 具体的には、PowerEdge R740XD2サーバーをベースに構築されており、8TBまたは12TBのSASドライブを1ノードあたり最大24台まで搭載する。10コアのインテルXeon Silverプロセッサーをデュアル構成で採用し、ネットワークインタフェースは25GbE×4ポートとなっている。従来のEX300と同じ2Uサイズ/1ノードであり、同一のラック/スイッチ構成でEX300のリプレースやノード強化にも対応する。なお最小構成は5ノードで、1ラックあたり最大16ノード、およそ3PBの容量をカバーする。

ECS EX500の製品概要

 デルでECSやIsilonなどを担当するアドバイザリシステムエンジニアの杉本直之氏は、ECSアプライアンスのポートフォリオにおいて、EX500はストレージの容量単価を抑えつつ性能面も重視した「アクティブアーカイブ」用途をカバーするモデルであることを説明した。

 「今回のEX500では200TB~3PBの容量をカバーしているが、実はここにエンタープライズにおける(非構造化データ活用の)課題が見えてきている。たとえば、従来型のストレージではコスト的に(容量単価的に)見合わないのでオブジェクトストレージでカバーしたい。あるいはクラウドネイティブアプリケーション開発のための新たなインフラを用意しなければならない。EX500は、エンタープライズ顧客がこれから活用していきたい領域にうまく当てはまっていくものと見ている」(杉本氏)

新モデルのEX500と、既存モデル(EX300、EX3000)それぞれの位置付け

 さらに今回はECSのソフトウェア新版「ECS 3.4」も発表されている。新版では、米国防総省が定めるSTIG(Security Technical Implementation Guides)に基づくハードニング、外部の暗号鍵管理サーバーとの連携といったエンタープライズグレードのセキュリティ強化、オープンソースの運用管理ツール「Grafana」連携によるリアルタイムのモニタリング、ストレージ容量の効率性向上、EX500のサポートといった改善点がある。

ECS 3.4の主要な機能強化点

22億ファイルの配信映像データをオンプレミスに移行、TCOを大幅削減

 ゲスト出席したNTTぷららの大橋氏は、同社が展開する「ひかりTV」サービスにおいて、動画配信基盤向けのオブジェクトストレージを、パブリッククラウドからオンプレミスのECSへと移行し、TCO(総所有コスト)を大幅に削減した事例を紹介した。

 ひかりTVプラットフォームは、自社サービスとパートナー(放送局などのバックエンドプラットフォーム)を含め、トータルでおよそ1000万ユーザーにさまざまなマルチメディアサービスを提供している。その中で課題となっていたのが、22億ファイルに上る配信用映像データの保存や管理だ。従来はこれをMicrosoft Azureのオブジェクトストレージサービス(Azure Blob)に保存していたが、コストや運用管理品質の面で改善の余地があったという。そこでオンプレミス設置のオブジェクトストレージを検討することになった。

 動画配信用ストレージの技術要件は、最大で総アクセスの20%程度に耐えうるスケーラビリティ、24時間365日の商用サービスを支えられる高い信頼性、Active-Activeで稼働する地理分散ストレージ間のジオレプリケーション機能、さまざまなプロトコルでファイルをアップロードできる汎用性などだった。これらの要件をふまえていくつかのオブジェクトストレージ製品を比較検討し、ECSを選択。見積もりを取ったところ、AzureのTCOを下回ることがわかった。

NTTぷららにおける新ストレージ選定時の技術要件

 東京/大阪の自社データセンターに設置したECS(ECS U2800)のシステム構築はおよそ2カ月ほど、その後、コンテンツ管理システム(CMS)を改修し、新規コンテンツファイルはECSにもアップロードさせるようにしたのと同時に、3カ月ほどかけて、インターネット経由でAzure Blob上にあるコンテンツをECSに移行していった。

 2018年9月からECSの導入作業を開始し、2019年1月から本番稼働を開始している。大橋氏は、この移行によってAzure Blobのコストが大幅に削減でき、移行コストは1年間ほどで回収できる見込みだと説明した。今後はECSの空き容量を有効活用するために、配信コンテンツ以外のデータ類も順次ここに統合していく方針だという。

 今後のECSに期待する機能強化点として、大橋氏はNAS(NFS)プロトコルのパフォーマンス向上、インターネットに直接コンテンツを公開できるようなロードバランサーやWebサーバー機能の搭載と合わせて、「ユーザー側でトラブルの一時切り分けに使えるログ閲覧/分析機能」を挙げた。パブリッククラウドでは“ブラックボックス”になっていて障害原因がまったくわからないことも多く、それがオンプレミスに移行した要因のひとつでもあったと、大橋氏は説明する。

 なお今回発表されたEX500については、OTTサービスをスモールスタートし、成長に応じて拡張していくうえではベストな選択肢だと思うと述べた。またECS 3.4については、Grafana連携で、これまで同社でできていなかったリアルタイムなパフォーマンスモニタリングなどが可能になることを評価しており、バージョンアップで対応していく方針だと述べた。

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