”Androidの父”とも呼ばれるアンディ・ルービン(Andy Rubin)氏が10月9日、TVのリモコンのような細長い端末の写真とともに「GEMの色が変わる(カラーシフト)素材」とツイートした。どうやら、ルービン氏のハードウェアベンチャー、Essential社が新しい製品を発表する日が近そうだ。一方で、ルービン氏のあの疑惑に再び注意が向いている。
超縦長スマホ(?)「ProjectGEM」が
次のEssentialの製品か?
ルービン氏とEssentialについては、本連載の前回で取り上げた通りだ(「スキャンダルなど紆余曲折の“Androidの父”は、Essential Phone 2をどんな形で世に送り出すか」)。Essentialは2017年に初代スマートフォン「Essential PH-1」を発表、その後動きらしい動きはなかった。GEMが発表されれば2年ぶりの新製品となる。
GEM Colorshift material pic.twitter.com/QJStoiDleH
— Andy Rubin (@Arubin) October 8, 2019
ルービン氏は10月9日に3件のツイートをしている。いずれも写真入りで、「GEMのカラーシフト素材」「まったく異なるフォームファクタ向けの新しいUI」などとツイート。そしてEssentialも同じ日に写真とともにツイート、「我々は、モバイルについてみなさんの視点を新しく変えるようなデバイスを開発中です」とした。
現在ラボの外でのテストを進めており、近い将来に情報共有するとのことだ。話題作りを狙っていることは明らかだ。Essentialのツイートについているハッシュタグは「#ProjectGEM」。そこから、製品名はGEMと予想されている。
ツイートの写真に映っている端末は長細い形をしており、背面にカメラ、指紋認証らしいものが配置されている。UIはカードの中にアプリが並んでいる。ポケットに入れてもはみ出してしまう長さで、この画面で動画を見るのは辛そうだ。ほかに使い方があるのかもしれない。
なおGEMとは通常、英語で宝石を意味する。写真を見る限り輝くような発色があり、色が変わる宝石といったところだろうか。
セクハラは封印され、9000万ドルの退職金が支払われた?
実はツイートは1年ぶりだった
2018年10月末、ルービン氏は自己弁護するツイートを2件投稿している。これは、同時期にNew York Timesが掲載した記事に対するもの(https://www.nytimes.com/2018/10/25/technology/google-sexual-harassment-andy-rubin.html)。グーグル社内でセクハラが行われていることを暴いた記事で、ルービン氏はセクハラをしていた1人として名前が挙がっていた。
1/2 The New York Times story contains numerous inaccuracies about my employment at Google and wild exaggerations about my compensation. Specifically, I never coerced a woman to have sex in a hotel room. These false allegations are part of a smear campaign
— Andy Rubin (@Arubin) October 26, 2018
それによると、ルービン氏は2014年にGoogleを辞めたが、その引き金となったのはルービン氏が社員と不倫関係にあったため。ホテルの部屋でセクハラ行為を行なったという。
New York Timesは被害者と名乗る女性の話を土台としているが、本人はこれを認めていない。記事の中には他にも、匿名の幹部、一時期CEOを務めたEric Schmidts氏、共同創業者のSergey Brin氏、法務のDavid Drummond氏など幹部の名前が出てくる。ルービン氏の場合、セクハラ行為が行われたにも関わらず退職時にそれは公開されず、さらには9000万ドルという潤沢な退職金が支払われたとのこと。その好待遇から前述の記事には「Googleはいかにして、“Androidの父”Andy Rubin氏を守ったか」というタイトルがついている。
しかし、ルービン氏はツイートで、「Google社員時代について不正確な部分がたくさんあり、報酬についても大げさな誇張がたくさんある」として具体的な描写のあったセクハラを否認した。「(記事の)誤った主張は、(自分に対する)中傷キャンペーンの一部だ」などと記している。
このようなことがあって1年後、GEMに沸き立つメディアや業界の中で、Android情報サイトのAndroid Policeの編集長は即座に、「Android Policeは、Essentialからのアクセスを拒否する」と記した。ルービン氏がセクハラが主な原因で退職後にスタートしたビジネスには、グーグルも投資している。
Android Policeの編集長は、Essentailはルービン氏なしにはあり得ないと前置きしながら、Essentialとの関係を考えた時に「Essentialからのアクセスを受け入れることは良心が痛む」と書いている。同時に、その製品にはニュース価値があることから、読者のためにEssential製品のニュースは継続して掲載するとしている。「出版する側として、Essentialのプレスイベント、レビュー、ミーティングなどを通じて、グーグルがルービン氏に支払った退職金の受益者になりたいか? ノーだ」。
As policy, Android Police will no longer be accepting any access whatsoever from @essential, indefinitely. No press conferences, no embargoes, no briefings, no review units.
— David Ruddock (@RDRv3) October 9, 2019
*If* we decide to review the Long Phone, and that is TBD, we will purchase a unit ourselves.

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