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DXR非対応のRadeonでもMinecraftの映像をレイトレーシングで劇的に変化させる方法とその効果に迫る

2019年10月21日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラハッチ/ASCII

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パストレーシングでMinecraftはどう変わる?

 ではSEUS PTGI E10でパストレーシングによるGlobal Illuminationを追加したMinecraftは、どんなビジュアルになるのかをさまざまなシーンで検証してみよう。比較対象としてヴァニラ、影Mod「SEUS Renewed」と比較してみる。

 Global Illuminationの効果が一番分かるのが以下のシーン(上からヴァニラ、SEUS Renewed、SEUS PTGI E10、以下同様)。柱の向こう側はGlowing StoneとLapis Lazuliでできているが、ヴァニラだと発光は一切表現されず、SEUS RenewedだとGlowing Stoneのみが光る。だがSEUS PTGIだとLapis Lazuriも光り、さらに天井部分には青い光の照り返しが反映される。さらにRedstone Torchの赤い光も表現されている。

ヴァニラ

SEUS Renewed

SEUS PTGI E10

 以下はMinecraft公式でも紹介されたBlockworks製のMinecraft10周年記念マップでの1シーン。SEUS PTGIを導入することで、水槽上部の光源が通路をぼんやりと照らしている様子がよく描写できている

ヴァニラ

SEUS Renewed

SEUS PTGI E10

 以下も10周年記念マップ。床に太陽の光が射す場所が出るか出ないかがヴァニラと影Modの差だが、同じ影ModでもSEUS Renewedだとかなり派手な絵になるのに対し、SEUS PTGI E10だと光線の回り込みがやけにリアルに表現されることがわかる。

ヴァニラ

SEUS Renewed

SEUS PTGI E10

 次にネザーでの描写も比較してみよう。ヴァニラの絵で分かる通り、画面のずっと奥まで洞窟が続くシーンだが、SEUS PTGI E10だと描画距離が一定以上離れてしまうと白っぽく抜けてしまう。手前の火が吹き出しているあたりの描写は良いのだが……。

ヴァニラ

SEUS Renewed

SEUS PTGI E10

 以下、逆光の描写では影Modの“味付け”の差がよくわかる。SEUS Renewedでは派手な絵作りをするためかこういう状況ではハレーションが出すぎてしまっているのに対し、SEUS PTGI E10ではかなり自然な感じにまとまっている。

ヴァニラ

SEUS Renewed

SEUS PTGI E10

 SEUS PTGI E10はまだ活発に開発が進められている段階ではあるが、非常に自然なライティングを使いたい人のための影Modといえるだろう。自分がMinecraftで作った建築物をよりリアルな味付けで見せたい時に活躍してくれるはずだ。

 ただまだ不具合らしきのものもいくつかある。例として提示したネザーにおける超遠景の描写が白く飛んでしまうとか、自分から見えていない背後の壁や地形の処理が省略されてライティングが不自然になる、といったものだ。恐らくカメラから見えない、あるいは遠すぎて描写されないブロックがメモリーに入ってない状況下で発生する不具合のようにも見えるため、今のJava版Minecraftの仕様上仕方のない部分なのかもしれない。これを正しく表現するには、恐らく抜本的なエンジンの作り直しが必要となりそうだ。

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