SEUS PTGIでなぜレイトレーシングが可能になるのか
SEUS PTGIの「PTGI」とは、「Path Tracing Global Illumination」を略したものだ。ざっと「グローバルイルミネーションのパストレーシングによる実装」とでも訳すことができるだろう。レイトレーシングもパストレーシングも、光線(レイ)の光跡をひたすら追跡(計算)し、どのポリゴンに衝突したかを求めて反射や屈折を求める。両者の違いはどこまでレイの通る道を計算し続けるか、にあるが、パストレーシングはレイトレーシングよりはるかに計算量が多い。より複雑な表現を可能にするのがパストレーシングと覚えておこう。
レイを追跡することで鏡面反射や屈折がリアルに出せるようになる、というのがレイトレース法の特徴として挙げられることが多いが、SEUS PTGIでは反射や屈折にパストレーシングは使われていない。では何にパストレーシングを使っているかというと「Global Illumination(GI)」、あるいは「大域照明」と訳される技法を実装するためにあるのだ。
GIとは……と始めるとまた解説が膨大になるので割愛するが、ざっくりと言うと「照明の照り返しや間接光をリアルに表現するための技法」である。暗い室内に射し込んだ光が床を照らし、明るくなった床が別の壁を照らす、といったシチュエーションはGIの得意とする表現だ。