そろそろスマートフォンのカメラが臨界点を突破する
iPhone 11の超広角カメラは、通常の広角カメラを使っているときにも常に動作し続けており、写真を撮る際の画面に、フレーム外の光景を表示して構図を考える助けをしてくれたり、写真を撮影した後からフレームをより外側にずらし、欠けてしまった被写体を含めた写真へ加工することもできます。
センサーが複数あり、一昔前のスパコン並みのプロセッサで処理できる性能を誇るカメラという意味では、元々のカメラの世界には競合はありません。それでも筆者が感じていた通り、光学的な性能のほうが、写真の仕上がりをより支配してきたこれまでのカメラの価値観が、そろそろ臨界点を超え、スマートフォンが上回り始めるタイミングを迎えつつあるのではないかと感じるようになりました。
今年の秋のソフトウェアアップデートで、iPhone 11には「Deep Fusion」という、最大9枚の写真を合成してより高解像度な写真を得る機能が有効化されます。そうなると、画像処理で解像感まで大きく改善することになり、筆者が感じていたスマホとカメラの違いの主要な部分を克服してしまう可能性があるのです。
あとはカメラで写真を撮っている、という行為に残る“撮影感”がポイントになるのかもしれませんね。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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