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「Oracle OpenWorld 2019」でケネス・ヨハンセン氏がインタビューに応じる

日本オラクル新CEO、OOWで見た「パラダイムシフト」を語る

2019年09月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 2019年9月17日から20日(現地時間)にかけて、オラクルが米国サンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld 2019(OOW 2019)」。その3日目には、9月に日本オラクルのCEOに就任したケネス・ヨハンセン氏と日本メディアとのラウンドテーブルが開催された。

 オラクル歴10年目のヨハンセン氏が今年のOOWをどう見たのか、日本オラクルにとってOracle Cloudの東京/大阪リージョン開設がどのようなインパクトを持つのか、エンタープライズ顧客に対する日本でのビジネス戦略をどう考えているのか。OOW 2019における発表もふまえながら、このラウンドテーブルの内容をまとめたい。

日本オラクル 執行役 CEOに就任したケネス・ヨハンセン(Kenneth Johansen)氏。2009年にOracle Denmarkに入社し、今年8月まではOracle Germanyのカントリーリーダーを務めていた

オラクルの「パラダイムシフト」が見えた今年のOOW、他ベンダーとの協業は必然

 「ラリー(・エリソン氏)による1日目の基調講演では、オラクルにとっての『パラダイムシフト』が少し見えたと思う」。ラウンドテーブルの冒頭で、ヨハンセン氏は今年のOOWに対する自身の印象をこう切り出した。

 今年のOOWではまず、オラクルの新しいブランディングが発表された。“Project Redwood”と呼ばれる、ユーザー体験とユーザーインタフェース(UX/UI)デザインの全面的な刷新プロジェクトに基づくものだ。「これまでよりも少しソフトな表現になったと思う」(ヨハンセン氏)。

 たとえば長年オラクルを象徴してきたブランドカラーの鮮烈な(「攻撃的」とも言える)赤色も、落ち着きと温かみのある(優しい)赤色へと更新された。OOW会場やWebサイトはすでにこの新しいブランディングに沿ったデザインとなっており、今後各アプリケーションのUIなどにも展開されていく。

OOW会場やWebサイトは新しいブランディングに基づくデザインに

基調講演のステージを昨年の写真(右)と比較すると、変化は一目瞭然だ

 ヨハンセン氏が指摘するオラクルの「パラダイムシフト」とは、もちろんブランドデザインのことを指しているわけではない。従来のプロダクト志向の会社から、クラウドを通じた「サービス志向」の会社への転換だという。そして、ここにおいてオラクルは、顧客ニーズに基づき他のITベンダーとの協調姿勢を示している。

 たとえば2日目の基調講演にはマイクロソフトやヴイエムウェアが登壇し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とMicrosoft Azureのデータセンター連携、そして「Oracle Cloud VMware Solution」について発表が行われた。ヨハンセン氏はマイクロソフトとの取り組みを例に挙げて、オラクルの姿勢変化を次のように説明する。

 「大きなパラダイムシフトの中で、われわれは顧客に対し、クラウド移行を通じて完全なベネフィットを提供できなければならない。マイクロソフトのクラウド(Azure)へワークロードを移行することで、Oracle Cloudやオラクルの環境も同時に使えるようになるという事実は、顧客にとって重要なことだ。逆に言うと、われわれの顧客はオラクルだけではなく、他社システムも使っているということが(あらためて)明確になった」(ヨハンセン氏)

2日目の基調講演ではマイクロソフト、ヴイエムウェアも登壇し、オラクルとの協業による取り組みを紹介した

 さらにヨハンセン氏は、クラウドベンダー間の相互接続を実現するためには、通信のレイテンシなど技術的な要件をクリアするだけでなく「2社間での強力な商業的合意(Commercial Acceptance)」も必要だと強調した。端的に言えば、顧客エンタープライズのニーズを軸として両社間で商業的な利害が一致しなければならず、マイクロソフトとの協業ではそれがうまくいっているということだ。

 その意味で興味深い新発表としては「Microsoft SQL Server on OCI」がある。Oracle Databaseにとって競合製品であるSQL Serverを、OCIでサポートするというものだ。オラクルにはメリットがなさそうにも見えるこの発表について、ラウンドテーブルに同席した日本オラクルの竹爪慎治氏は次のように説明する。

 「まずはBYOL(保有ライセンスの持ち込み)で既存環境をそのままクラウドに上げてから、オラクルが提供するクラウドデータベースのどれを使うかを検討する顧客は多い。現在オンプレミスでSQL Serverを利用している顧客に対して、(OCIへの移行と同時に)オラクルのクラウドデータベースを使ってもらうというのは、その間のステップを2つ、3つ抜いてしまうことになる。まずは顧客がデータ管理基盤をOCIに移し、次のステップとしてオラクルが強みを持つExadata CS(Exadata Cloud Service)やAutonomous Databaseを選択肢として提案することで、顧客に入り込みやすくなると考えている」(竹爪氏)

同席した日本オラクル 執行役員 クラウドプラットフォーム 戦略統括の竹爪慎治氏

「SQL Server on OCI」を提供開始。SQL ServerのイメージやライセンスもOCI経由で提供

 ヨハンセン氏はまた、2日目基調講演でデータベース担当EVPのアンディ・メンデルソン氏が披露した“Autonomous Data Platform”ビジョンも、他のクラウドベンダーとの協調の下で進めるという方向性を示唆するものだと説明した。この将来ビジョンは、オラクルだけでなくマルチベンダーのデータソースを一カ所に統合し、データサイエンティスト/アナリストでも容易に扱える自律的で自動化されたデータプラットフォームの構築を目指すものだ。

 「Autonomous Data Platformの環境では、皆さんやアナリストは単に『何が知りたいのか』を伝えてくれればよい。たとえば『Oracle E-Business Suite(EBS)』にあるこのデータが欲しい、Salesforce.comのような(他社の)SaaSにあるこのデータが欲しいとか、そのデータを正しい形に変換してほしいとか。このプラットフォームはそうした要求に対応するコードを自動生成し、ETLなどの処理を行ったうえでAutonomous Databaseに取り込んでくれる。皆さんの使いたいデータソースがあらゆる場所に散在していても、データにクエリをかけて分析をすることができるようになる」(メンデルソン氏、基調講演より)

 ヨハンセン氏は、日本の顧客は現在、データドリブンな新しい収益モデルの開発に大きな投資を始めており、そこで顧客が確実なベネフィットが得られるよう、オラクルとしても大きな投資をしていると説明した。

Oracle Database Server Technologies EVPのアンディ・メンデルソン(Andy Mendelsohn)氏は、Autonomous Databaseの先に考えている“Autonomous Data Platform”ビジョンを説明した

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