1986年にようやくSpectrumが完成
さてそのSpectrum、PA-RISCという名称で1986年に製品が発表された。SpectrumはPrecision Architectureと命名され、これを実装したRISCプロセッサーということでPA-RISCというわけだ。
最初に発表されたのはHP 3000/930とHP 3000/950、それにHP 9000/840であるが、どちらも納入そのものは1987年後半までずれ込んだ。
画像の出典は、Google BooksアーカイブのCOMPUTERWORLD March 17, 1986
最初のPA-RISCはTS-1と呼ばれるものだが、こちらはTTL ICを使った構成になっている。実際HP 9000/840に搭載されたCPUボードを見るとわかるが、CPUそのものの構成だけで最低5枚のボードが必要と言う体たらくである。
画像の出典は、Computermuseum der Fakultat Informatik。余談だが、英語ページにするとCPUボードの写真が出てこないので注意。
これは一応8MHzで動作したそうだが、よく8MHzで動いたなという気すらする。それでも出荷されれば面目は経ったのだろうが、上で書いた通り実際の出荷は1987年にずれこんだわけで、踏んだり蹴ったりではある。
HP LabにおけるPA-RISCのプロジェクトリーダーはBirnbaum氏が務めていたが、不幸なことにIBMでの経験もあって、パフォーマンスの話はMPE、つまりHP 3000シリーズのソフトウェアではなくUNIXベースのものとなった。
1986年6月のニュースレターでは、Birnbaum氏がSpectrumはAmdahlやDECのメインフレームと比較して互角以上であり、「OSのチューニングが行なわれていない状態でもVAX 8600よりも高速」と述べたとしているが、VAX 8600がECLベースで12.5MHz駆動だったことを考えると、やや過大評価な気がしなくもない。
当初の予定よりやや遅れ気味ではあったが、1986年に入ってHP 3000シリーズ向けにSuprtoolとQeditという非常にユーザー数の多いツールを提供しているRobelleというベンダーに、PA-RISCベースのマシンとOS一式が納入された。
こうした有力ベンダーに先行して機器を渡して開発してもらうのはよくある話で、このRobelleへの納入もHpのFast Start Programと呼ばれる契約に基づいたものであった。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第878回
PC
もはや銅配線は限界? 3200Gイーサネット実現に立ちはだかる200GT/秒の壁 -
第877回
PC
「不良品ゼロ」と「水冷NG」の狭間で。ルネサスが明かした車載チップレットSoCのリアル -
第876回
PC
このままではメモリーが燃える! HBM4/5世代に向けた電力供給の限界と、Samsungが示すパッケージ協調設計の解 -
第875回
PC
1000A超のAIプロセッサーをどう動かすか? Googleが実践する垂直給電(VPD)の最前線 -
第874回
PC
AIの未来は「電力」で決まる? 巨大GPUを支える裏面給電とパッケージ革命 -
第873回
PC
「銅配線はまだ重要か? 答えはYesだ」 NVIDIA CEOジェンスンが語った2028年ロードマップとNVLink 8の衝撃 -
第872回
PC
NVIDIAのRubin UltraとKyber Rackの深層 プロトタイプから露見した設計刷新とNVLinkの物理的限界 -
第871回
PC
GTC 2026激震! 突如現れたGroq 3と消えたRubin CPX。NVIDIAの推論戦略を激変させたTSMCの逼迫とメモリー高騰 -
第870回
PC
スマホCPUの王者が挑む「脱・裏方」宣言。Arm初の自社販売チップAGI CPUは世界をどう変えるか? -
第869回
PC
半導体プロセスの新たな覇権! インテルのDNNプロセッサーはAMDやMetaを凌駕する配線密度と演算密度 -
第868回
PC
物理IPには真似できない4%の差はどこから生まれるか? RTL実装が解き放つDimensity 9500の真価 - この連載の一覧へ











