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IFA 2019レポート 第17回

ソニーの点音源 完全制御の高級ニアフィールドスピーカーと360 Reality Audioが強烈

2019年09月09日 11時00分更新

文● 折原一也 編集●ASCII編集部

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「360 Reality Audio」なら
スマホ+手持ちの音で立体音楽を楽しめる

 もう一つ、「360 Reality Audio」についてもアップデートしたものが公開された。360 Reality Audioの技術については今年1月のCESでレポートしているが(音に360度包囲される新しい音楽体験! ソニー「360 Reality Audio」)、オブジェクトベースの音響技術で全天球に音を配置して音楽を楽しむものだ。

 IFA 2019の出展では、遂に本来のターゲットであるスマホを通してヘッドホンで360 Reality Audioを再生できるようになったので、開発陣にガイドしてもらい実際に体験した。

360 Reality Audioを担当岡崎真治氏川口元気氏の協力で「360 Reality Audio」を体験

スマホアプリで「360 Reality Audio」を再生中

 初披露された機能がスマホのカメラ撮影による、音の最適化機能。利用するのは「Sony Hedaphones Connect」という現在もソニー製のウォークマン・イヤホンで使用するアプリで、耳型に合わせる形にカメラで撮影すると耳の写真をサーバーにアップして、耳の聴覚特性にあったプロファイルの音響特性をセットする。認識の仕組みは写真でデータでマッピングをして、今回のショー向けに開発したデモアプリで試聴する形になる。

「Sony Hedaphones Connect」から耳の画像を撮影

正面、左右と枠の中にはめ込むと耳を自動で認識する

 IFA 2019のデモ用に用意されていた楽曲は26作品で、いずれも音源は360 Reality Audioを2chのステレオになる元の音源とボーカルやベース、ドラムといったものを、エンジニアの手で再配置したものだ。大量の曲制作にはその作業がネックになると思ってしまうが「技術的にはステレオからのアップコンバートは可能だが、開発中の段階」(岡崎氏)と解決は時間の問題だろう。

デモ用には26曲を用意

 音源としては「オブジェクトの数を規定していて、最低10オブジェクトが最低。1個のオブジェクトが64kbpsあり10オブジェクトで640kbpで送っている。ただし、5Gになったり帯域が広がればハイレゾでも送信はできる。24オブジェクトでは1.5Mbpsとサービスプロバイダーに送れるように設定している」(岡崎氏)と、基本的には高音質のサービスと考えて良いだろう。

 実際にヘッドホンで360 Reality Audioの音を体験してみると、音源の楽器の位置が、頭上から鳴るというのが、耳の後ろ近くまで含めて音の立体的な空間を使って展開される。バーチャルサラウンドにも近いが、位置が響きではなく厳密な位置として再現されるので、究極の楽器のセパレーションといったとことだろうか。楽器の音が上や耳の周りからも鳴るというのは、意外にも音楽としての違和感もなく、音楽に没入できてシンプルに新しい音楽体験だといえる。

普通の2chステレオのWF-1000XM3で驚きの立体音響を体験できた

 360 Reality Audioを改めて整理して考えてみると、ハードウェアの制限がないという事も強調しておきたい。今回はソニー製のWH-1000XM3のヘッドホンで検証したが、特にヘッドホン・イヤホンの機種やメーカーの縛りはないので、手持ちのヘッドホンでもイヤホンでも問題ナシ。サラウンドの音を送り出す処理もアプリに実装される形となる。となると、配信事業者のサービスが始まれば、誰もが定額や無料体験といった形で楽しめる可能性が高い。

 360 Reality Audioは、音楽配信のサービスとして提供することを想定したもので、CESの時点ではDeezer、TIDAL、Qobuz、nugs.netと高音質音楽配信サービスの名前があがっており、近いうちに近日中に何らかのアナウンスに期待できそうな雰囲気だ。

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