第2世代EPYCで80の世界記録を達成
話が逸れてしまったので戻したい。性能の話であるが、AMDは第2世代EPYCで80の世界記録を達成した、と発表している。
この80の内訳はAMDのウェブサイトで細かく説明されているが、以下の具合に、SPECjbbやTPC系のサーバーワークロード向けのテストが多めとなっている。
第2世代EPYCが達成した80の世界記録 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
テスト項目 | テスト数 | |||||
SPEC CPU 2017 | 13テスト | |||||
SAP | 2テスト(*2) | |||||
SPEC Accel Open ACC/OpenCL | 4テスト | |||||
SPEC MPI 2007 | 1テスト | |||||
SPEC OMP(G) 2012 | 1テスト | |||||
SPECjbb2015 | 26テスト | |||||
SPECpower_ssj2008 | 7テスト | |||||
SPECvirt_sc2013 | 1テスト | |||||
TPC-DS | 3テスト | |||||
TPC-E | 2テスト | |||||
TPC-H | 7テスト | |||||
TPCx-HS | 6テスト | |||||
TPCx-IoT | 2テスト | |||||
TPCx-V | 3テスト | |||||
VMmark | 2テスト |
(*2) ウェブサイトのリンクにミスがあり、そのままアクセスしても404エラーとなる。正しくは https://www.sap.com/dmc/benchmark/2019/Cert19044.pdfである。
こうしたベンチマークとは別に実アプリケーションでも、Xeon Platinumと比較してより高い性能を実現できるというのがAMDの主張である。
ちなみにHPCの分野では、今年1月のCESにおける基調講演の概略をAMD HEROESで書かせていただいたが、ここに出てきたイリノイ大のNAMDベンチマークに関しては、その後4月にインテルがData-Centric Innovation Dayというイベントの中で、Cascade Lake-APで10.65ナノ秒/日の性能をアピールして「1ソケットで7nm EPYCより高速」と説明していたが、Cascade Lake-APを1ソケットとするのは(嘘ではないが)無理がある気がする。
さらに言えばXeon Platinum 8180が8.40ナノ秒/日だったのに、コアの数が倍のXeon Platinum 9282がたったの10.65ナノ秒/日でしかないあたりも不思議である。
AMDの担当者にこの件を聞いたところ、「消費電力が違うから比較にならない」と一言で終わりであった。HPCの市場でも、実際TCO (Total Cost of Ownership:総保有コスト)が大きなポイントとなっていることを考えると、消費電力は同等にそろえないとまずいような気はする。
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