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出会い系アプリ「使いすぎ」で強い孤独感、米新研究

2019年08月13日 09時57分更新

文● Tanya Basu

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ジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・パーソナルリレーションシップ(Journal of Social and Personal Relationships)誌に掲載された研究によると、出会い系アプリを強迫的にチェックしている人は、アプリの使用前よりも使用後により強く孤独を感じるという。

研究では、少なくとも1つの出会い系アプリの使用経験があるオハイオ州立大学の269人の学生に対し、孤独と社会不安について質問した。研究チームは「私は出会い系アプリに費やす時間を減らせません」といった設問にチェックをつけてもらい、それらをランク付けすることで衝動的な利用の度合いを測定した。この結果、アプリを使っていて授業を欠席したり、課題提出の期限に間に合わせられなかったりした経験のある学生や、もっといい人が見つかるのではないかとアプリを使い続けてしまった経験のある学生は、アプリの使用後により強い孤独と社会不安を感じていたことが明らかになった。これは7月上旬に発表された、10代のうつ病とソーシャルメディア利用の関連性を明らかにした研究とも合致する。

強迫的に出会い系アプリを利用している人は、オフラインよりも出会い系アプリ内での方が自信を持てると報告している。すなわち、取り憑かれたようにアプリをスワイプしている時、彼らは承認を追い求めているのだ。今回の研究の責任者であるオハイオ州立大学の博士課程生であるケイティ・コドゥートは、社会不安の原因は社会からの拒絶だと指摘した。アプリをスワイプしても自分に合う人が見つからないのは、実に辛いことなのだ。

「結婚仲介人」の人気が復活の兆しを見せている一方で、一部の企業は人工知能(AI)によってこのパラダイムを変えようとしている。コドゥートは、「スワイプを使ったインターフェイスは、出会い系アプリの大きな魅力の1つだと思われるので、アプリ全体としてはこのインターフェイスからの脱却は難しいでしょう」と述べる。「しかし、スワイプを廃止して個人のプロフィールにより深く目を向させることは、中毒性を減らす効果的な方法の1つだと思います」。

その動きは、すでに現実化し始めている。先日報じたとおり、米上院議員のジョシュ・ホーリー(共和党)がソーシャルメディア依存症対策のための法案を提出した。法案にはソーシャルメディアの利用時間を制限し、利用者に利用時間を通知することが盛り込まれている。コドゥートによると、すでに一部アプリには利用者ごとに1日のスワイプ数に制限を設けているものもあるというが、新たな法規制は対策を推進する上で効果的かもしれない。

出会い系アプリは一般に普及しており、普通なら出会わないような人々を結びつける。だが、コドゥートはスワイプ依存のアプリの使用時間には注意し、期待を現実的な範囲に留めておくべきだという。こうしたアプリは、結局のところ企業が運営しているからだ。「出会い系アプリは大手テック企業が開発したものであり、どこかの誰かのお金儲けのために存在しているのです」。

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