1兆円弱の売上目指すソフトバンクの法人事業
ソフトバンクの法人事業は、JRの通信部門が独立した日本テレコムを2004年にソフトバンクが買収したことで本格化した。まずは、法人向けに固定電話回線を提供することから開始。基本料金などの引き下げによるコストダウンのメリットなどを訴求して、これまでに150万回線の契約を獲得している。
2006年には、携帯電話サービスのボーダフォンを買収してモバイル分野に参入し、約34万社にiPhoneをはじめとするスマートデバイスの導入実績を持つ。
現在、ソフトバンクの法人向け営業部門は、3000人規模の人員を擁し、年商1000億円以上の上場企業のうち、94%の企業がソフトバンクとなんらかの取引があるという。
そして、ソフトバンクでは120人体制のデジタルトランスフォーメーション本部を設置。この部門が新たなテクノロジーを活用した法人向け事業を担当することになる。
「小売・流通」「不動産・建設」「サービス・観光」「ヘルスケア」の4つを重点分野に位置づけ、2020年度までに17案件の法人向け新規ビジネスの収益化を目指している。
「法人向け事業の営業利益を、数年後に2倍にすることを目指す」(宮内社長)という。
2018年度の法人向け事業の売上高は6205億円、営業利益は763億円。1兆円弱の売上げ規模で、1500億円規模の営業利益を目指すことになる。日本テレコムを買収したときには、500億円を超える赤字だった法人向け事業は、同社の新たな事業の柱になりつつあるというわけだ。
社会課題の解決が、ソフトバンクの収益を拡大することになる。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ