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パナソニック新製品セミナーレポ:

「忙しくても家事は手抜きしたくない」という苦しさ

2019年05月16日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 盛田 諒です。共働き親です。家の中まで仕事が追いかけてきて、家事の時間がとれない毎日です。いま家事の時間を短くする「時短」のバージョンアップに関心が集まっているようです。「時短はしたいが、手抜きはせずに本格的な料理を作りたい」という考え。いわば「本格時短ごはん」です。

 本格時短ごはんに取り組むメーカーのひとつがパナソニック。6〜7月に発売する炊飯器と電気圧力なべの新製品は、時間がなくてもおいしく、本格的な料理をつくることがコンセプトのひとつ。実際どんなことができるのか、パナソニックが5月15日に開催した新製品セミナーで体験してきました。

 炊飯器は「スチーム高速コース」を新搭載。早炊きにあたる高速コースにもスチームを加えたことで、これまでに比べて粘りが約15%増したおいしいごはんを炊けるようになったそうです。早炊きは便利な反面「芯が残りやすい」という印象がありますが、それを技術でフォローした形です。

 電気圧力なべは実に10年ぶりの新製品。食材を入れてスイッチを入れるだけで圧力調理をしてくれるのは今までと同じですが、新たに素材がもつ水分を生かして調理する「無水調理」ができるようになりました。自動調理のレシピは7メニューを収録。カレーや肉じゃが、豚の角煮や野菜のスープなどがほったらかしでもできるようになっています。

 会場では電気圧力なべで定番の豚角煮を自動調理。通常3時間ほどかかる角煮がわずか60分ほどで完成しました。同様に電気圧力なべで作った煮込み、スープを試食させてもらいましたが、中でも無水調理で作ったかぶのポタージュは感動的なおいしさでした。かぶとベーコンしか使っていないのに味わい深く、かぶが雪のようにほろほろと口の中でくずれていくような食感です。

 自宅でも鋳物鍋のストウブを使って高山なおみさんのかぶのポタージュを作ることがありますが、普通の鋳物鍋と違ってフタから蒸気が逃げないためか、よりやわらかく、ぎゅっとうまみが凝縮されたような味わいがありました。鋳物鍋と違って、火加減を誤ってなべ底を焦げつかせるおそれもありません。電気圧力なべのレシピ開発に協力した料理研究家のみないきぬこさんはポタージュについて「なべでつくるよりも本当においしいです」とコメントしていました。

 ごはんは粒が大きく、香りも粘りもよく、文句のないおいしさでした。これだけおいしいごはんとスープが簡単にできるなら、それだけで豊かな食卓といえるのではないかと思いました。カットされた肉や魚や野菜を買ってきて、なべに入れてボタンを押すだけで本格的な煮込みができるなんて最高の一言。主菜がこれだけハイレベルなら「一汁一飯」や「一菜一飯」でも個人的には十分です。

 一方で、「忙しくても手抜きはしたくない」という前提条件にはちょっと息苦しさも感じました。時間がないなら、おかずの数を減らしても、調理工程を減らしてもいいはずです。それでも豊かな食事ができるというのが「本格時短ごはん」本来の良さではないかと思いました。いっそ手抜きの限りを尽くし、誰でもできるくらい料理が楽になれば、家族全員で家事を回しやすくなります。時代にあわせた家電を使うとともに、時代にあわせて家事の姿を変えることで日々に余裕が生まれてくるのではないかなと思いました。手が抜けるのはいいことです。盛田 諒でした。


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