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仕事に差がつく!阿久津良和「Office 365のスゴ技」 第67回

Build 2019のOffice 365新発表を解説

下手な文章を洗練してくれるAI、Wordに登場

2019年05月09日 07時00分更新

文● 阿久津良和 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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本連載は、マイクロソフトのSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション「Office 365」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。

 Office 365を使いこなして仕事を早く終わらせたい皆様にお届けする本連載。今回はBuild 2019で発表されたOffice 365に関する新情報に注目する。

WordにもAIアイデア機能が到来

 PowerPointにおける「デザインアイデア」やExcelの「アイデア」は、いずれも人間が行ってきた創造性をAI(人工知能)が補助する機能だが、同種のAI機能がWordおよびWord Onlineへやってくるという。公式ブログに掲載された短い動画によれば、より良い単語や文法へ洗練することで、難文を平文に置き換える機能が2019年6月のOffice Insiderに実装する予定だ。たとえば「Police Officer(警察官)」を「Policeman(警官)」という具合である。

Word用アイデア機能(仮)では、文書内の表組みを洗練する機能も備える予定だ

 本機能の背景にはMicrosoft Graphの機械学習を用いており、文書の推定読書時間や、キーポイントの抽出といった機能も備わるという。気になるのは日本語への対応だ。文法上の誤りなどは他社製校正ツールなどを見ても完全とは言いがたい。ただし、それらは推敲(すいこう)データが小規模であり、複雑なパターンマッチングの結果にすぎない。その上でMicrosoft Graphの大規模なデータをどのように生かすかが、本機能の有用性を左右するだろう。いずれにせよ、本機能が実装された時点で本誌読者へご報告する。

チームのハブとして成長を続けるMicrosoft Teams

 Microsoftによれば2019年5月現在50万以上の組織で使用されているMicrosoft Teamsだが、公式ブログによれば、IT管理者やサードパーティー向けの機能拡張を数多く施した。これまでMicrosoft Teams用アプリを登録するにSeller Dashboardツールを用いる必要があったが、この登録ロジックをパートナーセンターに統合することで利便性を向上されている。その他にもパートナーが自社製アプリの販売自由度を高め、アプリ設定ポリシーを通じて組織内への展開を制御可能にするという。

メッセージ送信者に対してアプリを経由したアクションを実行する「メッセージアクション」

 利用者向けには、メッセージから直接アクションを実行するメッセージアクションや、カードの投稿を始めとした各アクションを可能にするチャットボットの拡張、AAD(Azure Active Directory)を利用したアプリのSSO(シングルサインオン)などが並ぶ。さらにタブの改善やリンクの展開といった細かい改良も加わっている。これらの機能はDeveloper Previewで最初に展開され、今後数カ月間にリリースする予定だ。

Microsoft SearchがGAへ

 SharePointやDelve、Office 365アプリ、Bing for Businessを対象に検索機能を提供するMicrosoft Searchが、2019年5月29日にGA(一般提供)を迎える。本機能はOffice 365に限らず、Bingによる検索時やWindows 10の検索ボックスから使用するため、本連載の枠を超えるが、Microsoftの説明が少々ユニークなので合わせて紹介したい。同社によれば、「従業員が『犬を職場に連れて行っても構わないか』と尋ねると、Microsoft Searchは人事マニュアルから関連する段落を抽出し、検索結果として表示する」という。この検索結果はMicrosoft Research AsiaチームがSQuAD(Stanford Question Answering Dataset)を用いたMachine Reading Comprehension Dataset(機械読解データセット)をMicrosoft Searchに実装することで実現している。企業データの管理方法を変える切っ掛けとなりそうだ。

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