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DevRel担当が語る働き方改革ツールのSlackの使いこなし

Google Waveは早すぎた でも今はSlackがある

2019年04月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 2019年3月14・15日に開催された「Sansan Innovation Project 2019」において、「次世代のコラボレーションと働き方」を語ったのは、Slack Technologiesでデベロッパーリレーションを担当するベア・ダクラス氏。10年前のGoogle Waveを取り上げ、SNS業界に入った自身の経緯を振り返ったダグラス氏は、さまざまなデモでSlackの魅力をアピールした。

Slack Technologies ベア・ダクラス氏

チームワークの重要性が認知され、テクノロジー面で機が熟した

 自己紹介の後、ダグラス氏は現在の業務におけるコミュニケーションの重要性を示すとともに、Slackのミッションとして「ビジネスライフをよりシンプルに、より快適に、より有意義に」を掲げる。そして、ダグラス氏は彼女の姉が携わっていた「Google Wave」の画面を示し、この仕事に関わるきっかけを語り始める。

「もう10年前、私の姉がGoogle Waveの開発に携わっていましたが、私はまだ学生で語学の勉強をしていました。当時の私はテクノロジーのイノベーションについて興味なかったのです。でも、姉からの勧めでGoogle Waveを使い、衝撃を受けました。人々がコンテンツを作り、情報を共有し、それらを連携させることで、いろいろなプロジェクトが実現できると思ったのです」(ダグラス氏)。

 Webブラウザ上でリアルタイムにコミュニケーションできる意欲的なツールとして生まれたGoogle Waveだが、2010年には早々に開発停止となる。TwitterやFacebook、ParseなどSNS業界でデベロッパーリレーションを手がけてきたダグラス氏は、「10年前にGoogle Waveは先進的すぎたかもしれない。多くの人たちはGoogle Waveを知らなかったし、なにができるのかも理解していなかった」と振り返る。しかし、企業でチームワークの重要性が認知され、テクノロジー面でのイノベーションが生まれた。Slackのようなプロダクトが活用される土壌が醸成されてきたというわけだ。

チャンネルと通知はこうやって使いこなす

 論より証拠とばかりにダグラス氏は、旅行代理店を例にSlackの活用を披露する。たとえば、Slackは組織やプロジェクト、トピックなどさまざまな単位で「チャンネル」を構築できる。チャンネルをまたいでアカウントをチェックしたり、終了したイベントのチャンネルをアーカイブしたり、ハッシュタグで分類する。チャンネルは、まさにSlack活用の基本となる概念だ。

「個人情報を扱うチャンネルはプライベートになりますが、いろいろな情報はなるべく(公開前提の)パブリックチャンネルで扱ったほうがよい。業務の見える化という恩恵を受けられるからです。また、会社の重要なアナウンスは一番上、長期保存する場合はスターを付けていきます」(ダグラス氏)

 ユーザーごとに通知を細かくカスタマイズできるのもSlackのメリットだ。社内の場合はすべての通知、モバイル環境の場合はメンションが付けられた通知のみといった設定、特定のキーワードが来たときに通知するといった設定も可能だ。これにより数多くのチャンネルがあっても自分の関心のある内容のみ知ることができるという。時間帯の指定も可能で、夜になったらメンションが来てもバッチのみ表示させるとか、早朝には通知を受け取れるようにするといったカスタマイズも容易だ。

 単なるチャットのみならず、Slackはさまざまな使い方が可能だ。たとえば、「採用において、履歴書を見てほしい」という依頼を受けた場合、今できなくても忘れないよう、ピン留めやリマインドが可能だ。また、カスタム絵文字であるリアク字は単にスレッドに彩りを加えるだけではなく、特定のトピックのタグとしても利用できる。

 Slackでシームレスなコミュニケーションを実現するためのアウトプットのコツとして、ダグラス氏は探している内容をすぐに見つけられるようにしていくのがポイントだと指摘する。具体的には「パブリックチャンネルの活用」「命名ルールの統一」「いつでも質問できる場所を用意」「定期的にチャンネルを整理し、古いものはアーカイブ」などだ。

「特に大きな企業だと、あとから入った人が質問をしづらい雰囲気があります。だから、いつでも質問できますというチャンネルを作っておくといいです」(ダグラス氏)

 また、メンバーが情報を見つけやすくするインプットにもコツがある。「会議の議事録は可能な限りチャンネルに投稿」「ドキュメントやメッセージ、ポストは可能な限りピン留め」「メンション機能を積極的に活用」などを挙げた。機能面だけではなく、日々の工夫が円滑なコミュニケーションを育てていく。

Slackの魅力はアプリ連携 もちろんEightとも

 続いてダグラス氏は、企業間とのコラボレーションを容易にする共有チャンネルについて紹介した。たとえば、マーケティングキャンペーンでのクリエイティブをデザイナーからクライアントに共有する場合、従来のようにメールでチェックを繰り返していると、誰も進捗がわからない。共有チャンネルを使えば、異なる企業間で1つのチームのように情報を共有できる。

「スライドを企業間で共有する場合、ファイルが到着しているのか、アクセスできるかをすぐ確認できるので、効率がいい。コラボレーションのステップがシンプルになります。われわれも共有チャンネルを活用していますが、パートナーとの連携もより高まり、やりとりがスムーズに拡がっていきます」(ダグラス氏)

 Slackの特徴はチャットだけでなく、1500以上にのぼるアプリと連携する。たとえば「Polly」を使えば、Slack上で簡単にアンケートをとることができるし、スライドのタイプミスを修正する場合も、Google Driveへのアクセスをスマホから許可できる。やりとりされたメッセージをタスク化するのであれば、タスク管理ツールのAsanaに流せばよい。実際、有償契約の9割以上が積極的にアプリ連携を活用しているという。

数多くのツールと連携できるSlack

 ダグラス氏は再びデモに戻る。たとえば、イベントを主催するSansanのEightを使えば、スキャンした名刺をSlackのチャンネルで共有できる。もちろん、ボットを使った処理の自動化も可能だ。セールスの現状を知ったり、有休を申請したり、IT部門に新しいマシンのデプロイを依頼することもボットから行なえる。シンプルな処理、スピードを要するフローは、積極的にSlackを活用すべきだという。

 具体的なユーザー事例を紹介したダグラス氏は、「日々の業務をよりよくし、テクノロジーを使ってコミュニケーションをスムーズにしていこうとしている。これはわれわれだけのビジョンではなく、素晴らしいパートナー、素晴らしいお客様のためでもある。こうしたムーブメントにSlackが役立てることをうれしく思っています」と語る。Slackの目標は「人とアプリケーション、情報をつなげる『ハブ』になること。でも、やはり中心になるのは人をつなぐこと」とアピールし、講演を終えた。

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