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アスキー・ジャンク部リターンズ 第260回

きみだけのごはんとおかずの組み合わせを作り出せ:

500円で1000kcal ファミマ「てんこ盛弁当」大満足ってレベルじゃない

2019年03月25日 10時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

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ごはんの量に対しておかずが少ないんじゃ!

唐揚げとちくわ磯辺天にはタルタルソース。これを活かしたい

 このお弁当、食べきるには、意外と頭を使います。

 300gのごはんでよろこんでいると、おかずの量が少なくて悲しむハメになります。いや、決しておかずの量が少ないのではなく、あくまで割合の問題。数は揃えていますが、いかんせん米の量が多すぎる。力士の横に立つと誰でも小さく見えるとか、そういうレベルの話です。

 なので、おかずの配分、つまり、ごはんをこれだけ口に運んだら、これだけおかずを食べるというペースがですね、えー、非常に、大事になってくるわけでございます。まさにですよ、配分、バランスがですね、重要になってくると。これがよろしくない、つまり後々になってツケを残すことになるのは、避けなくてはならない。我々の未来のためにはですね、あってはならないと考えるわけでございます。などと、思わず政治家のような口調になってしまうほどのむずかしさがある。

こんな食べかけの写真をのせるな、といわれそうですが、ペース配分を考えているとこうなります

 上の写真は食べている最中の様子でして、まあ、写真自体はあまりうつくしくないのですが、ごはん部分とおかず部分、同じぐらいのペースで食べていることがわかるでしょう。調子にのっておかずを食べすぎると釣り合いが取れない。そんな現実と、真摯に向き合った過程を写したものだとお考えください。

 そのためには、桜大根の塩気でけっこうごはんがすすむとか、タルタルソースを無駄なく使いたいとか、きめこめやか攻略法が必要になります。弁当の容器の上を戦場に見立て、たくみな指揮ぶりで飽きることなく満腹をめざす軍師にならないといけません。

 戦略的に食を進めていかないと、あとで困るようになっている。このお弁当に対して「頭が悪い」などという比喩は適切ではない。知的な頭脳ゲームが生まれる逸材なのです。バランスよく食べるのが肝心です。栄養バランス的には最初から崩壊している気もしますが。

おかずの配分がカギをにぎります。きみだけのごはんとおかずの組み合わせを作り出して勝利しろ!

 ぜんぶ食べたあと、しばらく、ぼーっとしてしまいました。腹具合的には大満足ですが、心身ともに集中力を必要とするのはまちがいありません。午後からの仕事にそなえてエネルギー補給したつもりが、食べきるためにエネルギーを使ってしまうあたりがむなしい。悲しいけどこれ弁当なのよね……。

 食事のあとに作業に集中できなくなる(あるいは眠くなる)、この現象にはさまざまな理由があるそうです。急激に上昇した血糖に対して膵臓からインスリンが分泌され(血糖を下げようとする)、脳に供給するブドウ糖が不足するため、脳のはたらきが悪くなるといわれます。

 また、消化管の動きが促進される副交感神経が、交感神経より優位になることでリラックスし、眠気が生まれることもあります。増加すると食べ物の摂取量が増えるという脳内覚醒物質のオレキシンが、食後はバランスを取るために減少することで、眠気が生じるとの説もあります。

 いずれにしても、ただ食べるだけでもお腹いっぱいでリラックスするのに、ごはんとおかずのペース配分で脳を使うため(個人差があります)、食べ終わったあとは何もする気が起きません。498円で大満足ってレベルじゃない、そんなお弁当といえます。ぜひ、あなただけのごはんとおかずの組み合わせを作り出して勝利してください。


モーダル小嶋

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。

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