ブラザーの「大企業病」に危機感を抱く
ブラザー工業の佐々木一郎社長は、「CS B2021」の基本的姿勢を、「次の成長に向けた経営基盤に作り直すこと」だと語るが、その方針を打ち出した背景には、社員からの声があったという。
「ブラザーの社員に対して、ブラザーの強みはなにかと聞いた。時代の変化や技術の進化にあわせて、柔軟に対応し、失敗を恐れずにチャレンジし続けてきた『柔軟性』、お客様の声を起点として、きめ細かく把握したニーズにあった製品やサービスを迅速に提供する『小回り力』、独自の価値訴求や優れた擦り合わせ技術によるコストパフォーマンスに優れたブラザーらしい製品づくりによる『コスト競争力』だという声が多かった」とする一方、「ブラザーの弱みはなにかと聞くと、スピードが落ちてきているという声や、危機感が欠如しているという声があがった。これまでのブラザーの強みが、ブラザーの弱みになっている。大企業ではないのに、社内に大企業病がはびこっている。ここに危機感を感じた」と語る。
そして、「もう一度、巻き直して、ブラザー本来の強みを研ぎ澄まさないといけない」と危機感を募らせる。
さらに、ブラザーを取り巻く経営環境の厳しさがさらに増すという認識を持っていることも、佐々木一郎社長の危機感につながっている。
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