ファンをチームの戦力として機能させる
新たなコニュニケーションプラットフォーム作りへの挑戦
――ファンを作る重要性に注目されていますね。スポーツビジネスとファンの関係についてどうお考えでしょうか
スポーツ界にとって、いかに選手やチームにファンをつけるかは大事な命題です。ファンが付いてないとそもそも市場は広がっていきません。だからこそHADOでも観戦ビジネスにおいてファンをつける仕組み作りには投資をしています。しかし、今のスポーツ界では選手とファンのコミュニケーションがあまり機能していないように感じます。
チームにとっては「強くなること」と「ファンをつける」ことはどちらも大事なこと。そしてこれまでは「強いチームにファンが付く」という形でした。一方でファンが多く付いた結果、強さに繋がるということは順序的に難しいのが現状です。
応援されればされるほど試合が有利になる仕組みを作り、チームが強さを追求するだけでなく、ファンをつけようとする力学が働く方が健全です。この点が既存のスポーツには欠けている部分ではないでしょうか。
例えばサッカースタジアムにサポーターが応援に集まり、その声援は選手の力になっているはずですが、それがどれほど影響しているかは数字などではわかりません。もし、ファンの多さや熱狂の大きさが試合の行方に影響する仕組みがあれば、新しい選手とファンのコミュニケーションが生まれます。
またサポーターはスタジアムに集まった人だけではないし、その場にいないサポーターの応援も無駄ではないし、無駄にしたくない。あらゆる人が何らかのプラットフォームでチームと繋がり支援できることで、より熱狂を作り、ファンがファンを呼び込むという動きも生むこともできます。
――選手とファンのコミュニケーションを機能させる仕組みとは具体的にどのようなイメージなのでしょうか?
ドラゴンボールの「元気玉」がわかりやすい例です。世界中の人々が応援することでエネルギーが集まり、必殺技を放つことができます。HADOでも、テクノロジーを使うことでファンの応援によってエナジーボールの大きさや速さが変化させることが可能になるかもしれません。
すでに運用されている例で言えばフォーミュラEがあります。電気自動車のフォーミュラカーによるレースですが、ネット上のファンの人気投票によって最大出力ワットを引き上げることができる制度を採用しています。
また試合内容以外にも、AR技術を使えば観戦者が花火を打ち上げて演出に参加することも可能です。
スポーツはチーム対チームの戦いでなく、ファンを巻き込んだコミュニティー同士の戦いです。それをいかに率いることができるかという点がスポーツ産業成長のポイントの一つになると思っています。