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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第209回

米国ではApple Payがシェアトップ、モバイル決済は今後どうなる?

2018年10月20日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII編集部

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独自アプリを貫くウォルマートら
スターバックスの成功を受けて、独自決済のサービスを展開

 CVS、7-Elevenも実はCurrentCを推進していたが、Apple Payに扉を開いた小売となる。だが、Walmart、TargetなどはApple Payに対応する気配はない。Targetはストア内でスマートフォンを見せると決済できるアプリを用意しているし、Walmartは「Walmart Pay」なるものがある。

 これらは、Starbucksの成功を受けての動きだ。Starbucksは2008年に導入したSrarbucks Cardを2011年よりモバイルアプリとして正式展開(テストは2009年から)。事前にチャージしておけば、アプリのバーコードを提示して決済ができるというモバイル決済機能を提供する。

 Starbucksユーザーのみを対象としているというわかりやすさ(シンプルさ)、アプリなのでiOS、Androidと端末を問わないこと、スターを獲得するとドリンクが無料になるおまけや、事前注文もできる点も人気に繋がっているようだ。実際、モバイル決済全体で見ると、米国の王者はApple PayではなくStarbucksなのである。

 さて、Apple Payに話を戻すと、Apple Payは実店舗での決済だけではない。モバイル端末で利用できるEC(電子商取引)におけるApple Payもある。導入しているオンラインショッピングサービスでショッピングをし、決済になると「Apple Payで購入」という選択肢が出る。タップするだけで購入できるという便利さだ。日本ではユニクロが提供をスタートしたが、ECの仕組みを提供するSalesforceやSAPなどのベンダーのデモではApple Payボタンがよく出てくる。消費動向がインターネット、モバイルに移行しつつあることを考えると、こちらの方が潜在的な可能性は大きいのかもしれない。

日本でもユニクロがウェブ版のApple Payに対応している

 小売業界ではレジがなくなったAmazon Goを始め、さまざまな試みが出ている団塊で、決済もそれに合わせて今後変化するのではないかと感じる。全体の傾向としては、決済までの時間を短縮させ、支払いをスムーズに、そして消費者に「お金を払った」と感じさせない方向に向かっているが、それはそれでちょっと怖い気もする。

 今回は欧米の話を中心に書いたが、世界に目を向けると、この分野でも中国がダイナミックだ。「Alipay」「WeChat Pay」などQRコードを利用したものが人気で、日本でも類似サービスが出てきているのは周知の通りだろう。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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