iPhone人気は中国でも高く、スマートフォン全体の販売台数ではすでにファーウェイやOPPOに抜かれているとはいっても、それは全体を平均化した数値のこと。上海や北京などの大都市部では、地下鉄に乗れば右も左もiPhoneが多い光景は今も昔も変わりません。では新型iPhone XSの人気はどれくらいあるのでしょうか? 9月下旬に北京を訪れ、アップルストアの様子を見てきました。
北京にあるアップルストアのうち、繁華街である王府井(ワンフーチン)の店舗は2012年に中国国内で6番目に開業したお店。今年6月から改装のため休業していましたが、iPhone XSの発売に合わせ9月17日から再オープンしています。北京地下鉄の王府井駅を降りてメイン通りを歩くと、真っ先に目に入るのがOPPOの広告。やはり今のメーカーの勢いはこんなところにも出ています。
メイン通りを奥まで進んでいくと大きい交差点に出ますが、アップルストアはその角に店を構えています。その向かいにはお店はないもののVivoの大きな広告があり、Vivoもかなり力を入れて宣伝していることがわかります。シャオミやファーウェイを出し抜いてこの2社がワンフーチンに広告を出しているというわけです。
さてアップルストアの前に行くと、ちょっといつもと雰囲気が違うように感じられました。この写真は人が少ない時を狙って撮影したのですが、余計な人が写っていません。余計な人とは、店の前で待ち構えている転売・買取人たちです。中国のiPhone販売は予約制なので、当日並んでは買えないそうです。つまり転売人たちが行列を作ることはありません。そのため、転売品を仕入れたい業者は店を出てくる人間を捕まえては「売らないか」と声をかけるのです。ところがその転売屋が見当たりません。
iPhone XSは在庫が豊富なようで、予約すればすぐに買えるため転売を利用する客が少ないのかもしれません。あるいは店の前に公安が常駐しているので怪しい連中はここで商売できないのかも。時間があればもう一つのお店、三里屯の店舗も見てくるべきでした。
店内に入ると平日昼間にもかかわらず結構な賑わい。iPhone XSだけではなく値段の下がった旧モデルにも人だかりができていました。また、店内のセミナーコーナーも多くの人が集まっていました。iPhone人気は衰えることを知りませんね。アップルの販売方法も転売屋を排除する方向に動いており、ブランド力をさらに高めているわけです。
一昔前の中国のアップルストアの前は、SIMカッターを片手にSIM切りサービスをして小銭を稼ぐ輩や、外国人が通りかかるとジャケットの内ポケットからiPhoneの新品の箱を出して売りつけようとする連中がいるなど、「闇」の世界が垣間見えていました。
それはそれで混沌としていて面白かったものの、中国市場の重要性が高まるにつれアップルもそれらを見てみぬふりができなくなったのでしょう。いまの王府井のアップルストアへ行くと、店の前からここが中国であることを忘れさせてくれるほど。北京に行ったらぜひ立ち寄ってみてください。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第731回
スマホ
スマホ世界シェア4位をうかがう「Infinix」から激薄モデルや折りたたみが続々 -
第730回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った - この連載の一覧へ