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実のある働き方改革を実現するヒント満載の1万字対談

業務ハッカーはなぜ必要? 沢渡あまね氏とソニックガーデンが語り合う

2018年09月25日 12時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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ユーザーは「システムじゃなくて、自分たちが悪い」となりがち

大谷:さて、業務ハックに興味を持った人もいると思うので、どこから始めたらよいか、ぜひ指南してほしいです。

藤原:大きく、正しくやろうとすると、とても大変。自分が関わってない業務の見える化も難しい。ですから、われわれが仕掛かる際は、費用対効果が高く、小さく始められるところからスタートします。

不満の溜まっているところを聞くと、だいたい3つくらい出てくるので、一番気になるやつをピックアップしてもらって、愚痴を言ってもらいます。たとえば、「社長が口約束でやりますって言ってきたことを、現場に伝えてくれないので大変」とか、「顧客管理されていないので、昨日受けたクレームをまったく知らないまま別の担当が営業に行って再度炎上した」とか、そういう話をひたすら「大変ですねー」と同情しながら聞くんです。まずはそういう不満の溜まっているところをきちんと見つけて、解消します。

大谷:ソニックガーデンの仕事って、なんだか楽しいですね(笑)。

藤原:ホストクラブか、スナックのつもりでやってますから(笑)。

沢渡:すごく大事ですよ。日常のモヤモヤにつきあってあげるのも業務ハッカーの価値ですから。「職場の問題かるた」のワークショップって、普段なかなか言えない無理・無駄・おかしいを言えるところに価値ありますからね。10人いて、改善したいと思っている人が5人いたら、それはやっぱり改善した方がいい「ISSUE」なんです。あなたの言っていることは単なる個人の愚痴じゃなくて、職場の問題ですと認めてあげるのは、業務ハッカーならではの役割であり価値です。

「あなたの言ってることは職場の問題ですと認めてあげられるのも業務ハッカーの価値」(沢渡氏)

大谷:組織の「言える化」を促すのも、業務ハッカーの腕の見せ所ですね。

高木:うちの実家を例にすると、両親とも「システムが悪い」とは言わないんです。「自分たちのやり方が悪い」と言うし、実際の多くのお客様がそう思いがち。でも、業務ハックの事例が増えていくとともに、失敗しながらでもいいんだ、システムのせいにしてもいいんだという気づきがありました。

大谷:「情弱商売」までは言い過ぎかもしれませんが、ベンダーの営業さんから「こんな機能あるのに使ってないんですか」とか言われると、ユーザーも「自分が使いこなせてないのが悪いんだ」って思いますからね。

藤原:うちの業務ハックって、特定ツールの代理店ビジネスじゃない。代理店ビジネスになると、売っているツールを自然に推すことになるので、本来の問題解決が二の次になってしまう。さっきのお客さんの不満解消って、それこそExcelやGoogle Spreadsheetで顧客管理っぽいやれば十分解決できます。僕らもいきなりは作りません。

沢渡:そういう意味では、Excelだって入り口としてやはり最高ですよね。毎日Excelで数字を加工していたら、楽をしたくなってマクロを覚え、その次にVBに行ったり、SQLに行った人は何人か知っています。私もそうで、新人の時に企業の調達部門にいたとき、待ち時間にもらった名刺をExcelに登録していたら、FAXの送付状を自動で作るとか、見積もりの積算を自動化するとかやりたくなって、マクロに進みました。そんなこんなで、自分のやっている仕事を科学してみるというマインドが重要ですね。

高木:あと、いきなり商用製品を導入するのではなく、無料のクラウドサービスを使うと障壁は低いですね。最近はタスク管理クラウドのTrelloを入れること多いです。うちの実家も業務ハックをやろうと思ってサイボウズのkintoneを入れたんですけど、両親からは「わからないことだらけ」だと言われました。でも、Trelloでタスク管理するようになったら、なんだかログインユーザーという概念がわかってくるようになったんです。リマインダーみたいなのは、ユーザーが別々にログインしているから実現できるんだというのを納得したみたいです。

なぜkintoneでダメで、Trelloでいいのか聞いてみたら、やはり目的に特化しているからだそうです。その上で、ある程度柔軟性もあるので、自分で列を作ったりしたら、もっとこうしたいみたいなのが見えてきたみたいです。カンバンボードというタスク管理の発想まで導入できるので、ここは強いと思いました。

大谷:kintoneのサイトを担当している私が言うのもなんですが、確かにTrelloの見える化は強力ですよね。目的特化型のTrelloやチャットワークとか使って、次により汎用的に使えるkintoneに進むのがよいのかも。

沢渡:やっぱりユーザーの世界観で、わかりやすく導いてあげる、教育してあげる、類推してあげるって、業務ハッカーの大きな価値なのかもしれません。

業務ハッカーを拡げるには?

大谷:多少大きな話ですが、日本のITを支えるインテグレーターなり、開発会社なり、コンサルティングなりも、そういう方向に舵を切っていくべきですよね。最後に業務ハックを拡げていくための方策や今後の活動についてお聞かせください。

藤原:今後は業務ハックに結びつくツールやサービスを作っていきたいです。沢渡さんのカルタのクラウド版があってもよいし、アナログで作られたコンテンツや手法を、ITならではのやりかたで使えるようにしていきたいです。

高木:私はやっぱりコミュニティ活動をがんばりたいですね。自身で勉強会をやってみたら、業務ハックできる人こんなにいたんだ!という驚きもあったので。みんなで知見を共有すれば社内の業務改善は進むと思うし、自分で難しければ外にお願いできることも知ってほしい。業務ハックをみんなでやっていこうというムーブメントを少しでも担っていけたらいいなと思います。

沢渡:私は、今までボランティア精神で業務改善をしてきた人に、自信をもって続けて欲しいです。上司や周りに理解してもらえないせつない状況に陥っている人はいっぱいいると思いますが、そこで朱に交わって改善やめてしまったら、もう試合終了ですよね。

業務ハックすることって、今後間違いなく大きな価値になるので、やり続けていれば、その部署で花開かなくても、他部署からうちでやってみないと言われるかもしれないし、転職したり、コミュニティで輝くという道もある。私も講演者として、書き手として、現場で業務改善をやっている人たちに、「とにかくあきらめないで続けて欲しい」というメッセージを発していきたいと思います。

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