クラウドコスト最適化のCloudHealth買収、SDDCをエッジに拡大する新サービスなど「VMworld 2018 US」
マルチクラウドとIoTエッジの管理を強化、ヴイエムウェア新発表まとめ
2018年09月03日 07時00分更新
「自由と管理のバランス」DevOps向け環境の運用自動化ツールをSaaSとして提供
マルチクラウド管理強化の一環として、今回はVCSのラインアップに「VMware Cloud Automation」が追加されることも発表されている。これは主にDevOps環境向けのサービスで、ハイブリッド/マルチクラウドの運用自動化を図るものだ。
Cloud Automationは「VMware Cloud Assembly」「VMware Service Broker」「VMware Code Stream」という3つのサービスで構成されており、オンプレミスの「vRealize Automation」とも連携する。いずれもインフラのコード化(Infrastructure as Code)と自動化、サービスカタログ化によって、開発者がクラウドインフラ(VMwareベースのプライベートクラウドを含む)を利用したアプリケーションのデプロイやテストなどを迅速かつ簡単に行えるよう支援する。
Cloud Automationの基盤をなすCloud Assemblyは、ハイブリッド/マルチクラウドのプロビジョニングを自動化するサービスだ。公式ブログの解説によると、Cloud Assemblyはマルチクラウドを統合管理するための抽象化レイヤーを提供し、“ブループリント”と呼ばれる宣言型テンプレートに基づいて、どのクラウドを使う場合も適切なリソース/サービス構成でインフラを提供できる。また、たとえば「開発環境とテスト環境は異なるクラウドへデプロイすること」といったポリシーに応じて、マルチクラウドを適切に使い分ける機能も備える。APIも備えており「Pivotal Cloud Foundry(PCF)」や「Pivotal Kubernetes Service(PKS)」といったサードパーティツールと連携させることも可能だ。
Service BrokerとCode Streamは、このCloud Assemblyが提供する基盤上で開発者向けサービスを提供するツールとなる。Service Brokerは開発者に対しテンプレートカタログを提供し、さまざまなクラウドをセルフサービス型でプロビジョニング可能にする。Cloud Assemblyのブループリントのほか、AWSやAzureのネイティブテンプレート、「vRealize Orchestrator」のテンプレート、KubernetesのHelmチャートなどに対応するという。またCode Streamは、DevOpsにおけるCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリ)をサポートするサービスだ。開発者が使い慣れたCIツール(GitやJenkinsなど)をサポートし、Kubernetesのようなオーケストレーションツールと連携動作することで、アプリケーションのデプロイやテスト、トラブルシューティングなどの包括的な機能を提供する。
Cloud Automationのサービス群を提供する背景について、アッペンツェラー氏は「この数年で、開発者側のインフラも徐々にCIO組織が中央管理するようになってきている」ためだと説明した。開発者には使いたいクラウドやツールを選べる“自由”を与えつつ、CIO組織としてはコストやコンプライアンスの面からしっかり管理することも必要であり、そのバランスを維持することが重要だと指摘した。
なお今回のVMworldでは、マルチクラウド環境のセキュリティモニタリングを行うサービス「VMware Secure State」のパブリックベータ提供開始も発表されている(AWS、Azureに対応)。これは複数のクラウド環境におけるセキュリティ関連の設定内容/変更内容を継続的に監視し、問題のある設定がなされた場合にはリアルタイムでアラートを上げるというサービスだ。アッペンツェラー氏は、特にインフラが常時変化し続け、セキュリティ管理者が設定変更を追いかけるのが容易ではないDevOps環境において「これはパワフルなツールになると考えている」と語った。