工場生産能力の増強に3600億円を投資
その一方で、後半計画の3ヵ年では、AIやIoTなどの新技術分野やソリューション事業の拡大、工場生産能力の増強などを目的に、2020年度までの3年間累計で3600億円を投資する。さらに、研究開発投資として2200億円の投資を予定している。ここでも積極姿勢は崩さない。
「今後3年間の投資額は研究開発投資を含めて約6000億円規模となり、従来のペースに比べて大きなものになる。M&Aはこの投資計画のなかには含まれていないが、今後3年間も、M&Aは積極化していきたい。成長発展に向けて必要な投資を引き続き行っていく」とする。
非連続の成長にも乗り出すことも明言してみせた。
成長軌道をまい進するダイキンだが、取り巻く環境は大きく変化している。
「IoTやAI技術の急速な進歩とビジネス展開の拡大、グローバルにおける環境規制の強化や環境意識の高まり、そしてモノからコトへ、所有から利用へといった変化が起きている。この変化をチャンスとして捉えて、その要素を後半計画に取り込みたい」と十河社長兼CEOは語る。
全社の重点戦略として、5つのカテゴリーにおいて13のテーマを設定。米国、アジアを中心とした既存事業の強化に加えて、IoTやAI技術の進歩および普及をチャンスと捉えた空調ソリューション事業の拡大や、環境技術の強化などにより、時代の変化に対応した積極的な投資および具体的な施策を追加。事業の拡大につなげるという。
企業の成長の鍵となるIoT、AI技術者の確保
こうした中で課題としてあげるのが、IoTおよびAIの知見を持った技術者の確保および育成だ。
具体的は2020年度までに700人のIoTおよびAI人材の確保を目指すという。
ダイキン工業 経営企画室長の足田紀雄執行役員は「IoTやAI技術の急速な進歩や環境への意識へ変化は、当社事業にも大きな影響を与えるが、IoTやAIにおける知見が当社は少ない。キャッチアップが難しい領域であると認識している」とする。
だがその一方で、「これをうまく事業に生かすことができれば大きなチャンスになる。空調機器を単なる機器として販売しているだけでは、今後事業が成り立たなくなってくるという危機意識を全社で共有し、新たな価値を提供するコト売りへのシフトを図る絶好の機会と捉えていきたい」と語る。
シリコンバレーでは、AI技術を持った技術者は、新卒でも年間3000万円の報酬を用意する必要があるという。
「こうした人材を数多く獲得するのには限界がある。ダイキンという会社に魅力を感じてもらうことはもちろん、数年間で移籍してしまうということを前提にした採用も視野にいれなくてはならない」と、これまでの人事制度とは異なる手法も用いる考えだ。
「優秀な人材を獲得することで社内に刺激を与えたり、その人材が辞めたとしても人脈を構築できるというメリットが生まれる。こうしたプラス効果を視野に入れながら、優れた人材を獲得していきたい」とする。
ダイキン工業が持続的な成長を続けるには、IoTやAIに関する優秀な人材をいかに獲得するかが鍵になる。
次の成長に向けて新たな人材の獲得、育成への投資は不可欠だといえる。
優秀な人材獲得に向けてもこうした柔軟に発想ができるところにダイキンの成長の理由があるのかもしれない。
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