合計4基のドライバーにハイパワー
スピーカーとアンプのスペックを見ると「そうきましたか、さすがJBL!」というわかりやすい仕様なのだ。31mm径ドライバーを左右に2発ずつ、それを3W+3Wのアンプでドライブ。このドライバーの数と出力が、重量とバッテリー持続時間に現れているのだろう。
たとえばソニーなら1W+1W。BOSEは出力を公表していないが、実際の音量でJBLに及ばない。そして、ソニーもBOSEもドライバーは左右に1発ずつ。どちらも離れて聴くとスカスカの音になってしまうが、机の上に置いても、JBLはそのままBluetoothスピーカーとして使えてしまうくらい音もデカいし、バランスもいい。
首にかけた際の低域も、必要にして十分。いつものように低音盛りまくりのBOSEや、低域を直接身体に伝えるバイブレーター内蔵のソニーに比べると、不自然さがない。余裕のパワーからくるパンチの強さ、音圧感の高さが魅力だ。
BOSEと比較した場合は、ステレオの音場感もいい。スリットを設けてドライバーを横向きにするなど、工夫された設計のソニーには及ばないところもある。が、音楽観賞用としてならヘッドフォンより自然な音場感が得られる。
ソニー、BOSEと3機種の中でどれか選べと言われたら、私はこれにしたい。ただし、それは音に限った話。それ以外の部分では、いくつか不満もある。
首が太いとNGかも
まず、装着のたびに痛い思いをする。頭の後ろから勢いよく被ろうとして、スピーカーの突端を後頭部に何度も突き刺してしまった。この馬蹄形のスピーカーは、開口部が少々狭いのだ。間隔は、実測で8.5cm程度。
力を入れれば1cmくらいは広げることもできるが、ほぼ剛体なので無理は効かない。首の後ろからそっと差し込むように装着すれば大丈夫だが、ソニーやBOSEに慣れていると、あまりの不自由さに驚く。
ちなみにソニーは幅の広いU字型で、どこに当たることもなく、そのまま肩にかけられる。
BOSEは本体がグニャグニャの柔構造で、思い切り閉じたり開いたりができる。だから、こうした使いにくさは経験したことがないので、意識して装着する必要があった。
筐体デザインに関連する、もうひとつの難がある。開口部の先を覆うカバーのネットが、顎や頬に触れやすいのだ。女性だったらファンデーションが付きやすいだろうし、そうじゃなくても汚れてくる。ところが、どうやら取り外して洗うことはできない。残念ながらウェアラブル機器のプロダクトデザインとして満点はあげられない。
ついでにもうひとつ文句を言うと、電源投入時に鳴る効果音は、ボリュームを絞っておいても常に最大音量なので、うるさい。JBLに限らず昔から海外のBluetooth製品に多いパターンだが、誰もクレームを入れないのだろうか。あれがまた鳴るのかと思うと、夜中にスイッチを入れるのもためらわれ、利用機会も確実に減るのだから、真っ先にどうにかしていただきたい。