トラブルで若干遅れていたWindows 10 RS4は
なんとか4月中に一般公開へ
3月末にRS4のリリースについて記事を書いたが、どうにも予定どおりにはいかなかったらしい。
ここまでの経過をまとめてみると、
03/23:17133がビルドされる
03/27:17133のFast Ringでの配布開始
03/29:17133.73がビルドされる
03/30:17133がSlow Ringに登場
04/05:Release Preview Ringに17133が登場
04/10:17133.73が配布(Windows Update)、17134がビルドされる
04/16:17134のFast Ringでの配布開始
04/17:RS4の出荷予定日
04/20:17134がSlow、Previewリングに
04/27:完成と配布日を発表
04/30:一般向け配布開始
3月27日にBuild 17133のFast Ringでの公開が始まった時点では、まだマイクロソフトは問題を把握していなかったと思われる。
その2日後、4月10日にWindows Updteで配布されるKB4100375(OS Build 17133.73)がビルドされている。マイクロソフトは、4月5日〜9日の間に問題を確認。9日に予定していたBuild 17133のPreview Ringでの配布を制限した。また、翌日の10日には、のちにBuild 17134として配布されるビルドが作られている。
Build 17133が当初は最終とされていたと推測できるのは、ビルド番号からすると、3月24〜26日(土日にかかるため)のビルドに付けられるはず(本来デイリービルドなので)のBuild 17134のビルドの日付が4月10日になっていることからも推測できる。最終ゆえにRS4は毎日のビルド作業を3月23日で止めていたのだ。
本来の一般配布日であったはずの4月17日の前日16日に、マイクロソフトはBuild 17134を公開する。いくつかの問題がありブルースクリーンが出る可能性が高いため、新規にビルドを作ることにしたのだという。いまのところBuild 17134は、Release Preview Ringでも公開されている。
米国時間の27日6時(日本時間、同22時)、マイクロソフトはブログで完成と一般配布日を告知した。一般配布開始は4月30日と、ギリギリ4月中に間に合った。4月30日が月曜日でよかったねという感じである。ブログでは今回のFeature Upgrade(FU)を、「April 2018 Update」としており、これまでのようには個別に名前を付けず、配布日で命名するスタイルになっている。
RS5のプレビューは順調に進行中
RS4のトラブルこそあったが、Skip Aheadで配布されているRS5(Windows 10 Ver.1809)のプレビューは順調に進んでいるようだ。開発チームはおそらく2チームあり、交互に開発しているのだと推測される。というわけで、これまでに配布されたプレビュー版からRS5がどうなるかを見ていくことにしよう。
まずは「Sets」だ。本連載でもすでに紹介しているSetsだが、過去のある時点の複数のアプリ操作履歴をまとめて再現できるというものだ。おそらくRS5の最大のポイントになると考えられる。OfficeもInsider Preview版では、Setsに対応しており、タイトルバーをカスタマイズしていなければ、デスクトップアプリケーションでも動作できるという。
Windows Timelineでも、Setsが表示されるようになり、アクティビティの右上に「+2 Tabs」などと表示され、ここからSetsを直接開くことも可能になっている。
そのほか、Setsのタブ操作のショートカットキーやタブのドラッグ&ドロップなどへの対応もなされ、開発は着々という感じである。
外付けGPUの取り外しにWindows側で対応
古くなっていたネットワークドライバの仕様を更新
ハードウェア面での更新としては、
・外付けGPUの取り外し機能
・LTEモデムドライバがNetAdapterCxに対応
がある。外付けGPUとは、Thunderbolt 3などで接続された外部GPUの脱着をWindows側が管理するもの。従来は、メーカーが独自のアプリなどを作る必要があった。
こうした機能が入るのもSurfaceBook(タブレット部が分離可能でキーボード側に外付けGPUを内蔵している)が外付けGPUをサポートしているからだろう。USB Type-CとThunderBolt 3の普及で、外付けGPUボックスが汎用製品やメーカーオプションとして登場しており、一般的になってきたというのも背景にある。
NetAdapter Class Extensions for WDF(NetAdapterCx)は、Windows10 Ver.1703で導入された、新しいネットワークドライバ構造である。
従来のネットワークドライバは、MS-DOSのときに最初の仕様が作られたNDISドライバ形式がそのまま使われてきた。つまりWindowsでネットワークハードウェアを使う場合、NDIS仕様に準じたドライバを開発する必要があった。
つまりNDISの仕様は非常に古く、コードの記述量が多い、効率があまり良くないという問題点があった。このため、多数のネットワークカードを扱おうとすると効率が落ちてしまうことがあったという。また、Windows 10のデバイスドライバ仕様であるWDF(Windows Driver Foundation)とは異なる部分が多く、WDFの機能を利用しようとするとコードが煩雑になってしまうという問題もあった。
これに対して、NetAdapterCxは、WDFの仕様で動作するネットワークカードドライバの仕様を定めた。ドライバは、WDFの枠内で動作し、NetAdapterCxがNDIS環境と接続する。プロトコルスタック側は、NDIS環境がそのまま維持されるため、ネットワークスタック側との互換性は保たれる。
マイクロソフトによれば、同じギガビットイーサーネットカードで、デバイスドライバのソースコード行数が半分になったという。RS5ではNetAdapterCx対応のLTEモデムドライバの導入が可能になった。ただし、Insider Previewでは手動でドライバを変更する必要がある。
もう1つの改良点は、Edgeに関するものだ。Edgeに限らず、最近のウェブブラウザは、ウェブサイトなどのユーザー操作テストを自動化するためにW3Cで定めたWebDriverというAPIをサポートしている。これを使うことで、スクリプト側からページを開いたり、ページ内のフォームにテキストを入力する、ボタンを押すといった操作ができ、開発したサイトやページが想定どおりに動作するのかのテストを自動化できる。
多くの場合、このWebDriverは、ウェブブラウザの開発元から各ブラウザ用に、APIを受けるためのソフトウェアモジュールとして配布されている。これまでEdgeでは、開発者が手動でMicrosoftのサイトから最新版のWebDriverをダウンロードする必要があった。しかし、RS5からは、Windowsのオプション機能となり、インストールすれば、自動で更新ができるようになった。
なお、EdgeのWebDriverは、ユーザーが手動(設定アプリ→アプリ→オプション機能の管理)でするか、「開発者モード」(設定アプリ→更新とセキュリティ→開発者向け機能)に設定することで自動的に組み込まれる。
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